Prodrone(以下、プロドローン)は、愛知県、西尾市、国土交通省と連携し、佐久島におけるドローン物流の長期事業化に向けた実証実験を開始した。2025年11月5日から12月上旬まで約1か月実施する予定だ。

 このプロジェクトは「あいちモビリティイノベーションプロジェクト」の一環として、「スマートアイランド推進実証調査業務」と連携して実施するもので、プロドローンと日本航空、名古屋鉄道が中心となり進めている。

写真:河原に設置された簡易的な信号(赤)、その向こう側で上空から荷物を下ろすドローン
信号が変わり、ウインチを使って荷物を下す「PD6B-Type3」

 一色漁港から佐久島間の海上を航路に、プロドローンの物流ドローン「PD6B-Type3」が荷物を運搬し、島内では自動配送ロボットと自動運転車が連携して配送することで、空と道がつながる次世代物流モデルの実現を目指す。ドローンと自動配送ロボット、自動運転車という異なるモビリティが協調することで、3次元交通網によるスマート物流モデルの検証を行う。

 2025年度はドローン連動型信号機システムを新たに島内に設置した。ドローンが50m以内に接近すると信号が黄色になり、さらに近づくと赤に変化する。これにより、空域と地上交通の安全を一体的に管理し、空と道をリアルタイムに連携させる。

 また、ウインチ式荷物着脱システムを活用し、ドローンを着陸させずに上空から荷物を届ける運用を開始する。

 2024年度に実施した際は、ドローンによる定常的な離島配送の有効性を確認し、ラストワンマイル配送や運用コスト、積載制限などの課題が明らかになった。今年度はその成果をもとに、持続可能なビジネスモデルの構築を目指す事業化フェーズに進む。

 今後、天候や運航条件を変えながら複数回のドローン配送および自動ロボット配送を実施し、運用コスト、安全性、住民受容性を含む事業化検証を行う。

写真:自動配送ロボット
ラストワンマイルを担う自動配送ロボット

Prodrone 代表取締役社長 戸谷俊介氏コメント

 この佐久島実証は、愛知県が掲げる「空と道がつながる愛知モデル2030」を具体化する重要な一歩です。Prodroneはドローン物流の社会実装を通じて、離島や中山間地域における生活インフラの持続可能化を支えたいと考えています。
 今回は、新開発の“ウインチ式荷物着脱システム”や「ドローン連動型信号機」を導入し、安全かつ効率的な運航モデルの確立を目指します。佐久島での取り組みが、未来のスマート物流社会の実現につながることを期待しています。

写真:自動運転ロボットやドローンと、実証の名称などが入ったボードを手に横並びになる12人
関係者と自動運転ロボット、ドローン

実証実験の概要

実施期間2025年11月5日(水)~12月上旬(予定)
実施場所愛知県西尾市佐久島および一色漁港間
目的ドローンを活用した物流サービスの長期事業化に向けた検証
主な連携機関愛知県、西尾市、国土交通省、名古屋鉄道、日本航空、スギ薬局、名古屋大学、リベラ
実証実験の概要図

【飛行ルート】

離着陸西尾市一色港付近~佐久島(西尾市所有空地)
距離約10km(主に海上上空を飛行)
飛行ルート
飛行ルート
本土側の離着陸場所(①色港近傍 ポンプ場跡地)
飛行ルート
離島側の離着陸場所。佐久島内に着陸場所を2か所設置(②大浦海水浴場、③クラインガルテン)

【自動配送ロボット、自動運転車走行ルート】

佐久島の地図に記された、自動配送ロボットと自動運転車の走行ルート
赤:自動運転車、青:自動配送ロボット(東・西地区)

【事業実施体制】

  • アイチモビリティイノベーションプロジェクト
    Prodrone事業総括、機体提供等
    名古屋鉄道関係者調整、運航等
    日本航空安全管理、運航等
    スギ薬局日用品配送の物資協力
    西三河農業協同組合日用品配送の物資協力
    西尾市関係者調整
  • スマートアイランド推進実証調査業務
    Prodrone事業総括、機体提供等
    愛知県関係者調整、施策検討
    西尾市離島課題検討、関係者調整、自動運転車の運行
    リベラ物流・移動管理システムの提供、運用管理
    名古屋大学自動運転車の提供、運行支援
    地域問題研究所今後の展開方針検討