2025年6月3日、エバーブルーテクノロジーズはナブテスコと、次世代の風力推進システム「風車帆」の実用化・自動航行化に向けて共同研究プロジェクトを発足し、新型風車帆を搭載した帆船型ドローン「AST-201 spec1.4 with Windmill Sail」(以下、AST-201 spec1.4)のプロトタイプを開発したことを発表した。

帆船型ドローン「AST-201 spec1.4 with Windmill Sail」概要

 AST-201 spec1.4は、全長1.4m、重量14kgの軽量な帆船型ドローンで、ナブテスコが開発中の風車帆を搭載している。風車帆は、風の力で回転し、マグヌス効果(※1)で推進力を生み出す円筒状の風力推進装置。従来の帆と比較して小型・高出力・単純構造という特長を持ち、推進と同時に発電もできる。

 風力を利用したゼロエミッション航行が可能で、長時間の洋上調査や観測業務、再生可能エネルギー自立型システムの研究に貢献する。遠隔操作のほか、今後、自動航行にも対応する。

※1 マグヌス効果:回転しながら進む物体の進行方向に対して垂直な力が働く現象。

写真:プールに浮かぶ「帆船型ドローン AST-201 spec1.4  with Windmill Sail」
帆船型ドローン AST-201 spec1.4 with Windmill Sail

 船舶の脱炭素化は喫緊の課題となっている。燃料費は船舶運用コストの大部分を占め、省エネかつ高効率な風力推進技術が求められている。

 エバーブルーテクノロジーズは帆船型ドローンの開発に注力する中、より安定した長時間航行と、多少の天候不良にも対応する小型ドローンの研究開発を続けてきた。

 今回採用したナブテスコ社の風車帆は、円筒帆と垂直軸風車の特徴を融合させた独自構造で、風の力で回転して発電するとともに、回転によって発生するマグヌス効果で船舶を推進させる。同技術は、小型ドローンから大型タンカーまで応用が期待されており、このプロジェクトでは初期段階として小型実証モデルを共同開発し、ニーズを探る。

 今後、実海域での試験を通じて風車帆の推進性能・発電能力・自動航行技術の最適化を進めるとともに、エネルギー自立型海洋ロボティクスとして、自然エネルギーによる長期稼働、災害監視、環境モニタリングなどへの展開を目指す。

 同プロジェクトは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」の採択事業。また、風車帆はNEDOの助成事業(JPNP21005)の成果によるものとなる。