2025年2月28日、日本マルチコプター協会(以下、JMA)は、災害救助活動を支援するための新たな水上救助用小型ドローン「マリンボード」を開発したことを発表した。

写真:水面に浮かぶマリンボード

 マリンボードは、リモート操作型ボディボードとして設計されており、コントローラーを操作することで遠隔から迅速かつ安全に被災者のもとへ駆けつける。

 特別な資格は必要なく、誰でも簡単に操作が可能。重量は約15kgと軽量で、大人一人でも簡単に持ち運べるため、救助現場で迅速に展開できる。2秒で起動し、最高速度は8m/s(約30km/h)、通信可能距離は最大500m、連続稼働時間は約50分。救助活動中に転覆しても即座に復元できる設計を採用し、安全性を確保している。

図:マリンボードと送信機、HMD

【スペック】

幅×長さ×高さ625×1,005×145mm
重さ機体のみ:9.3kg
機体+バッテリー:10.53kg
出力1.8馬力
時速約30km/h
牽引能力約25kg
通信可能距離約500m
使用可能時間約50分
浮力約30kg
マリンボードの外観、スペック

想定する活用方法

 消防や自衛隊などの災害救助機関における活用を想定しており、荒波や狭い水域でも高い機動性を発揮する。例えば、津波による浸水地域や河川氾濫による孤立地域で迅速に被災者に接近し、救助を行う。将来的には救助活動だけでなく、環境調査や観光業、海洋研究など、社会の多様なニーズへの対応を目指す。

【レスキュー活動】

 マリンボードは小型軽量で、収納場所から素早く取り出すことができる。起動時間は2秒で、迅速な救助活動が可能。船上で救助を行う際、波が荒れている状況では浮き輪での救助は困難だが、マリンボードであれば救助に向かうことができる。岸からの救助時は、先にマリンボードを被災者に向かわせ、その間にライフセーバーが救助活動準備を進めることができる。救助中にマリンボードが転覆した場合でも、リモコン操作で素早く立て直し救助活動を継続可能。

イラスト:水辺で遊ぶ人々、マリンボード、HMDを装着し送信機を手に持つ監視員
マリンボード活用例

【補助機器としての活用】

 飛行するドローンと組み合わせることで、マリンボードをアシスト艦として活用可能。橋の下を点検する際にドローンを誘導したり、バッテリーを搭載しておくことで交換の手間を省いたりすることができる。ワイヤレス充電器を搭載し、ドローンを手元に戻すことなく連続して橋下点検を続けることが可能。

【オプション】

 オプションには、マイクスピーカー、暗視カメラ、サーモカメラ、魚群探知機、投光器、海上ゴミ回収機器、回転灯を想定している。例えば、各種カメラや海上ゴミ回収機器を搭載することで、手軽に水質調査や海上に浮かぶゴミの回収を行うことができる。

マイクスピーカー
監視カメラでとらえた船
左:マイクスピーカー、右:暗視カメラ
サーモカメラで撮影した画像
探知機の画面
左:サーモカメラ、右:魚群探知機
投光器
回転灯
左:投光器、右:回転灯

実験内容・検証結果

 今回の実験では、可動性、入水時の安定性、えい航能力、最大通信距離(500m)での運航性能を検証。マリンボードの性能と操作性を確認し、実際の災害現場における有用性を実証した。

▼マリンボード
https://marinedrone.jp/marine-board/