2025年5月8日、KDDIスマートドローンは大林組と共に、自動充電ポート付きドローン「Skydio Dock for X10」を活用し、建設現場における巡回業務の自動化、および取得したデータの現場進捗管理への有効性を検証する実証実験を実施したことを発表した。
この実証では、遠隔からSkydio Dock for X10に指示を送り、Skydio X10の自動離着陸から自律飛行、映像伝送(可視カメラ・サーマルカメラ)、データアップロード、撮影した写真からの3次元モデルの生成まで、一連の検証を実施した。これにより、建設現場の状況を遠隔からリアルタイムで把握することが可能となり、現場管理の効率化と安全性向上に寄与できることを確認した。
建設業界では就労人口の減少や高齢化が進む中、生産性の向上や安全性の確保が喫緊の課題となっている。特に広大な建設現場における日々の進捗確認や安全点検は、多くの時間と労力を要している。KDDIスマートドローンと大林組は、ドローンやBIM/CIM(※1)等の技術を活用した建設現場のDX推進を目指し、実証実験を行った。
※1 BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling, Management):建設事業で取り扱う情報をデジタル化することにより、調査・測量・設計・施工・維持管理等の建設事業の各段階に携わる受発注者のデータ活用・共有を容易にし、建設事業全体における一連の建設生産・管理システムの効率化を図ること。
実証について
2025年3月、大林組が管理する建設現場(相模ダムリニューアル工事(第1期)下流施設工事)にSkydio Dock for X10を設置し、実証を行った。
【実施内容】
- 遠隔からの自動離着陸
遠隔からSkydio Dock for X10に指示を送り、Skydio X10の自動離着陸および自動充電を開始することを確認。 - 自律飛行による定点観測
事前に設定した飛行ルートに基づき、Skydio X10が建設現場内の指定されたポイントを自律飛行し、高精細な写真と映像を撮影。 - リアルタイム映像伝送
上空電波(4G LTE)を用いてリアルタイムに映像(可視カメラ・サーマルカメラ)を伝送し、遠隔から現場の状況を確認。 - 取得したデータの進捗管理への活用
ドローンが取得し自動でアップロードしたデータ(写真、映像)から3次元モデルを生成し、それを活用することで遠隔から正確な進捗状況を把握できることを確認。 - 障害物回避性能の検証
高性能AIを搭載したSkydio X10による障害物回避を行い、建設現場特有の複雑な環境下でも安全に自律飛行できることを確認。
実証の結果、遠隔からSkydio Dock for X10に指示を送り、Skydio X10の自動離着陸・自律飛行・撮影・自動充電・データアップロードを行う一連の運用を安定して実施できることを確認した。また、リアルタイム映像伝送(可視カメラ・サーマルカメラ)により、昼夜を問わず遠隔にいる複数の関係者が同時に現場状況を把握し、迅速な意思決定や安全管理の効率化を実現できることを確かめた。
さらに、高所作業など危険な場所での確認作業をSkydio X10が代替することで、作業員の安全リスクの低減が可能となることや、定期的に取得する高精細な空撮データおよび生成した3次元モデルが、進捗管理の精度向上や正確な施工記録として活用できることを確認した。
今後両社は、夜間飛行や悪天候下での安定運用に向けた検証、既存の施工管理システムやBIM/CIMとの連携を強化し、建設プロセス全体の最適化を図ることで、他の建設現場へSkydio Dock for X10をはじめとした自動充電ポート付きドローンシステムの適用範囲の拡大を推進するとしている。