2025年4月16日、ブルーイノベーションは、屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」に、自動帰還する機能「スマート・リターン・トゥ・ホーム(Smart Return To Home)」(以下、Smart RTH機能)が新たに搭載されたことを発表した。
この機能は、ELIOS 3の開発メーカーであるスイスのFlyabilityが開発したもので、ELIOS 3が飛行の離陸地点(起点)に自動帰還できるようになる。これにより、操縦者はバッテリー残量や帰還経路を気にせず点検作業に集中することができる。
Smart RTH機能は自動飛行に向けた技術開発の第一歩であり、LiDARによるリアルタイム3Dスキャン機能を活用し、ELIOS 3が衝突回避や障害物認識を行えるようにする新機能のリリースも予定している。
Smart RTH機能の特長
- 離陸地点までの最短経路を自動設定
3Dマッピングされた施設の形状から、飛行の軌跡にとらわれずに障害物を避けて最短経路を自動で計算し、離陸地点へ安全に帰還する。 - フライト管理ゲージで帰還のタイミングを通知
バッテリーの残量をフライト管理ゲージとして可視化し、操縦アプリ「Cockpit」内上部に表示。緑色は飛行時間、黄色は帰還推奨時間、赤色は推定帰還時間を表している。また、帰還が必要なタイミングで操縦者に通知を行う。 - いつでも操作の切り替えが可能
Smart RTH機能はCockpitからいつでも起動ができ、起動中はいつでも機体の制御を戻すことができる。
各社コメント
Flyability共同創業者兼CTO Adrien Briod氏
Smart RTH機能の導入により、Elios 3は極めて複雑な屋内空間でも自律的に飛行し、機体サイズギリギリのマンホールさえも通り抜けることが可能になりました。この機能は、最先端のナビゲーションアルゴリズム、LiDARとカメラを組み合わせたFlyawareマッピングエンジン、そしてELIOS 3独自の衝突耐性によって実現されています。この開発は、「どんな過酷な環境でも誰もが簡単にドローン点検を行えるようにする」という当社のビジョンを形にしたものです。閉鎖空間でのドローン運用の可能性を、ブルーイノベーションと共に、さらに広げていくことを楽しみにしています。
ブルーイノベーション代表取締役社長 熊田貴之氏
ブルーイノベーションは2018年よりFlyability社と協業し、ELIOSシリーズを活用した屋内等特殊環境に特化した点検ソリューションを展開してまいりました。機体の提供から、現場の点検運用サービス、機体の操縦講習までと幅広くサービスを提供しており、発電所や石油化学、製鉄所、建設現場、下水道などを中心に全国で300ヶ所を超える現場での導入実績を有しています。今回発表した「Smart RTH機能」は、以前から現場での要望が多かったものであり、今後はより安全に効率的なドローン点検運用が可能になり、屋内等特殊環境でのドローン点検がさらに拡大すると期待しています。