北海道更別村とSocial Knowledge Bank、長大、イームズロボティクス、AIRSTAGEの5者は、更別村スーパービレッジ構想の一環として、2025年1月29日から30日の2日間、ドローンを使って牛乳検体を配送する実証実験を行った。

 これまでは酪農家からJAさらべつまで車で配送しており、ドローンを使うことによる効率やサービスとしての満足度などを評価した。

写真:牧場を飛行するドローン
牛乳の検体を搭載し牧場を離陸するドローン

実証概要

 実証では、イームズロボティクス社製ドローンを使い、牛乳の検体をレベル3.5飛行で配送した。飛行ルートは、更別村勢雄地区の牧場から十勝森林組合までの全長約8km。

 レベル3.5飛行(無人地帯における補助者なし目視外飛行、要免許取得者)は、道路や橋梁上空の通過に補助者が不要となるため、LTE通信を用いたカメラで第三者の立ち入りを確認し、通過の可否を判断する決心点を設定した。人の通過をカメラで確認した場合は決心点の上空で待機し、人の通過後に飛行を再開するなど安全に配慮した。

 評価内容は、飛行ルート設定、サービスレベル(自動車による配達との配送にかかる時間の比較)、サービスの満足度など。

 飛行ルートは、サッチャルベツ川上空を設定。低気温によるバッテリーの電圧低下や道路横断の際の停止時間を加味し、安全のため飛行経路を2つに分け、中継地点でバッテリーを交換した。

 全て自動飛行で行い、緊急時に介入できるよう操縦者1人とプロポを各地点に1台配置した。

 飛行速度は航行時10m/s、道路等横断時は5m/sに減速。牧場から中継地点まで約5kmを約12分、中継地点から十勝森林組合まで約3kmを約9分、総飛行時間は約21分となった。

離陸場所更別村勢雄地区の牧場
中継地点更別地区で一度機体を着陸させ、バッテリーを交換後に再度離陸
着陸場所JAさらべつの近隣の南十勝森林組合
退避場所不測の事態に備え、勢雄地区と更別地区に確保


【飛行ルート】

飛行ルートの詳細

【飛行体制】

飛行体制の概要図

【使用機体】

写真:イームズロボティクス社製ドローン「UAV-E6106FLMP2」
機体名UAV-E6106FLMP2
ペイロード5kg
航続距離24km(10m/s)
最高速度80km/h
動力源LiPoバッテリー
通信方式2.4GHz・LTE通信
その他特徴自動航行可
その他設備リモートID搭載

 今回の実証では、総飛行距離や冬期のバッテリーの消費状態、道路横断時等の減速を考慮して中継地点を設けて飛行した。今後、サービスの提供が可能な飛行距離などの検討を進める。また、実際の運用を想定し、型式認証機体の導入、操縦士資格を有する人材の配置・育成等の検討も進めるとしている。

写真:保冷ボックスに収められた牛乳検体
牛乳検体を入れた保冷ボックス(温度管理)
写真:ドローンに搭載した保冷ボックス
ドローンへの牛乳検体の積み込み
写真:雪の積もる牧場で離陸準備中のドローン
検体を載せたドローンの離陸準備
写真:屋外に設置した机でPCを操作する様子
地上からGCS(Ground Control Station)によりドローンを制御する様子
写真:飛行するドローン
JAさらべつを目指して飛ぶドローン
写真:ドローンが運んだ牛乳検体を受け取った様子
牛乳検体の受け取りが完了