2025年2月7日、エアロセンスは、2024年12月25日に垂直離着陸型固定翼ドローン「エアロボウイング」を用いて、レベル3.5飛行を実施したことを発表した。

 経済産業省を中心に政府関係省庁が推進する「デジタルライフライン全国総合整備計画」の取り組みの一環であるドローン航路整備の実証実験において実施したものとなる。

 エアロボウイングは第二種機体認証を取得しており、操縦者は二等無人航空機操縦者技能証明を保有しているため、レベル3.5飛行における事前承認不要の運航となった。

写真:飛行する「エアロボウイング」

 デジタルライフライン全国総合整備計画では、アーリーハーベストプロジェクトのひとつとしてドローン航路が位置付けられており、約10年で全国の送電線上空に約4万km、一級河川上空に約1万km、計5万kmの整備が計画されている。

 従来、ドローンの飛行の際には、運航会社がそれぞれ飛行ルートの計画や各種調整、リスクアセスメント等を個別に行い、周知や情報共有をしていた。ドローン航路の整備により、運航会社が個別に行っていた飛行ルートの事前調査や周辺関係者との調整、リスクアセスメントにかかる手間や費用が協調領域として集約されることで、運航会社の時間とコストの削減が期待される。

 今回、デジタルライフライン全国総合整備計画の一環として、ドローン航路を活用し、ドローンによる巡視・点検や配送等の普及を後押しすることを目的に実証実験を実施した。なお、実証実験はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業」においてトラジェクトリーが実施し、HMK Nexusとエアロセンスがドローンの運航を行った。

実証実験の概要

 実証実験は、薬局がない阿多古地区の病院で診察を受けた患者に発行された処方箋を二俣地区の薬局に送信し、近隣の調剤薬局で処方された医薬品をドローンで迅速に運搬することを想定して実施した。

 医薬品を積んだエアロボウイングは、浜松市天竜壬生ホール(A地点)を離陸して天竜川沿いを北上。約11kmの距離を飛行して下阿多古ふれあいセンター(B地点)に到着し、患者に医薬品を配送した。

Google Earthに示された飛行ルート(A:天竜壬生ホール、B:下阿多古ふれあいセンター)
飛行ルート

 エアロセンスでは代表取締役社長の佐部氏が、2024年12月に飛行機に対応した無人航空機操縦者技能証明(二等)を取得し、飛行機モードでのレベル3.5飛行が可能となった。技能証明と第二種機体認証を合わせることで、原則として飛行許可・承認は不要となる。