栃木県足利市とNEXT DELIVERYは、2025年11月26日、同市で大規模災害に備えた物資輸送ドローンの飛行ルート構築へ向けた検証フライトを公開した。

 今回の検証では、2025年10月に国土交通省の航空局標準マニュアル(機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行―「レベル3.5飛行」等―)に基づき、DIDを含むルートでレベル3.5飛行を実施した。

 レベル3.5飛行は、レベル3飛行(無人地帯での目視外飛行)において、機上カメラによる歩行者等の有無の確認、無人航空機の操縦ライセンスの保有および保険加入などの条件を満たした場合、補助者や看板の配置といった立入管理措置が緩和される飛行方法であり、運用コスト削減や業務効率化を目的としている。

写真:上空から撮影したDID地区
DID地区上空を飛行するドローンからの映像

 2024年1月に発生した能登半島地震において、NEXT DELIVERYは被災した孤立地域に処方薬や衛生用品等の物資をドローン配送した。こうした災害時の物資輸送手段やフェーズフリーな地域防災インフラとして、ドローンが注目されている。

 足利市は、2023年度にドローン物流について2ルートを構築する実証実験を実施。その有効性を確認したことから、2024度に3ルート、さらに今回新たに3ルートを構築した。このうち2ルートはDID上空も飛行する。

写真:ドローンの機体上部を開けて内部に荷物をセットする様子
ドローンに荷物をセットする両毛丸善のスタッフ(北郷小学校)

 この事業は、2025年度「足利市ドローン飛行ルート構築」の業務委託を受けたNEXTDELIVERYが実施するもので、検証フライトでは両毛丸善がグランドパイロットと補助者業務を担当した。両毛丸善はNEXT DELIVERYの物流ドローン運航オペレーションに関する人材育成プログラム(2026年1月より提供開始予定)を先行して受講し、3者協力体制で実施した。

写真:上空から着陸しようとするドローン、見守るスタッフ
グランドパイロットの両毛丸善スタッフがドローンの着陸を見守る様子(名草ふるさと交流館)

ルート構築概要

 2025年11月26日、大規模災害に備えた物資輸送ドローンの飛行ルート構築に向け、大規模災害時の土砂災害等により孤立するおそれがある地域等の中から3ルートの検証フライトを実施した。各ルート1便をレベル3.5飛行で自動遠隔運航した。そのうち2ルート(①、②)はDID上空を含む。使用機体は、物流専用ドローン「AirTruck」。

① 北郷小学校〜名草ふるさと交流館
② 北郷小学校〜三和公民館
③ 小俣公民館〜ふるさと学習資料館

 NEXT DELIVERYが山梨県小菅村から遠隔運航管理(リモートパイロット(※1)業務)を行い、現地のグランドパイロット(※2)業務、機体管理、補助者業務は両毛丸善が担当した。

※1 主に飛行ルートの作成と、無人航空機の遠隔操縦を行う。
※2 機体の日常的な点検や準備、ルートを構築する際の現地調査や現地操縦を担う。

写真:足利市の地図に示されたDID上空を含む飛行ルート
DIDレベル3.5で飛行した足利市の2ルート(Google EarthをもとにNEXT DELIVERYが作成)