2025年11月7日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、クマよけスプレー搭載ドローンを開発したことを発表した。ドローンを遠隔操作することで、クマに接近することなく唐辛子スプレーを全方位に噴射することができる。
日本各地でクマの人身被害や市街地付近での出没が増加している。とりわけ、秋田や岩手など東北地方を中心に事態は深刻化している。
秋田県では目撃件数が8,000件超(前年比約6倍)に達し、わな設置や見回り体制の強化が進められている。しかし、現場では安全確保と配慮の両立に加えて、説明や相談対応の負担が増している。また、ハンターの不足や高齢化、野生動物の致傷を目的とした常設訓練・運用を前提としない関係機関(自衛隊・警察等)の任務制約により、現場の選択肢が限られることがあった。
テラドローンは、上空からの広域探索とオペレーターの安全確保を両立する手段として、遠隔操作でクマよけスプレーを噴射するドローンを開発。今後、全国の自治体を中心に展開し、講習・保守を含む運用体制の整備を進めるとしている。また、2026年3月を目標に、飛行時間を約75分へ延長、赤外線・可視光カメラを搭載した新モデルを開発する方針だ。
製品概要
上空からクマを探索し、クマとオペレーターが安全な距離を保ったままスプレーを噴射できる。ドローンの遠隔操作により、クマの背後・側面への回り込みや全方位からの噴射が可能。風向き待ちの時間を減らし、最小限の噴射で対応できる。
クマよけスプレーは、トウガラシ由来の辛味成分「カプサイシン」を主成分としており、噴射距離は一般的に約5~10m。カプサイシンが目や鼻の粘膜に強い刺激を与えることで、人間の数千倍の嗅覚を持つクマを一時的にひるませ、突進や接近から退避する時間を確保する。
【特徴】
- スプレー缶を搭載:クマよけスプレー缶を機体に搭載し、上空から噴射
- FPVジンバルカメラ:コントローラーで映像を確認しながら飛行
- ワンボタンでの噴射:コントローラーの噴射ボタンで遠隔噴射
- 屋外での安定飛行:GPS Position飛行による屋外での安定運用
【運用イメージ】
- 各自治体と災害時応援等の協定を結ぶ地域の測量会社・防災事業者等がドローンのオペレーターを担当。テラドローンは講習等を行い製品を提供する。
- ドローンを遠隔操作し、クマと操縦者の距離を約500m~1kmに維持。FPVカメラの映像を確認しながら安全に操作。
- 学習能力の高いクマに対し、人や市街地に近づくと強い不快刺激があることを学習させ最接近を阻止する。
【主要スペック】
| 飛行時間 | 約10分 |
| サイズ | 390mm×390mm×390mm |
| 電波距離 | 12km |
| 電波 | 2.4GHz周波数帯域 |
| 飛行モード | GPS Position飛行 |
| 搭載物 | FPVジンバル式カメラ、スプレー缶 |
