2025年10月22日、中日本航空とNTTドコモビジネスは、大阪国際空港(伊丹空港)において、セルラードローン「Skydio X10」を利用した夜間の滑走路点検の実証実験を実施したと発表した。

 この実証実験により、滑走路付近のライトの状態を確認できるようになり、滑走路の効率的な維持管理へのドローンと測量技術の貢献可能性を確認した。従来は夜間に人が実施していた点検作業をドローンに置き換えることで、点検作業時間の削減が期待される。

写真:暗い屋外を飛行するドローン
滑走路を飛行する「Skydio X10」
写真:暗い屋外でランディングパッド上に停止したドローン
路面状況の点検に用いたレーザー計測機

 大阪国際空港では毎日、空港滑走路内に設置された約3,000個のライトの点灯状態の点検や、滑走路上等の状況確認を行っている。点検作業は高頻度かつ広範囲にわたり、職員が目視で確認しながら滑走路内を移動するため効率化が課題となっている。また、夜間と悪天候に対応した点検手法の確立が求められていた。

 実証実験は中日本航空が主導し、大阪国際空港を管理運営する関西エアポートの協力のもと実施した。ドローンによるライトチェックだけでなく、FOD(滑走路異物)検知の可能性についても検証するため、レーザー点群取得とSkydio X10による撮影を行った。ドローンの飛行にあたり、航空法に基づく飛行許可申請、飛行計画の作成、飛行の運用はNTTドコモビジネスが担った。

 実験の結果、夜間滑走路におけるライト点検飛行の正確性・安定性、撮影画像の有用性を確認したほか、夜間でも一定サイズの滑走路異物を3次元点群やサーマルカメラ(定点撮影)で撮影することができた。撮影した映像や画像を「Skydio Cloud」経由でリアルタイムに伝送し、プロポで確認している画像と同等の画像を遠隔地で確認。Wi-FiとLTEの両方を利用した飛行・撮影も行い、Skydio X10の有用性を確認した。これにより、ドローンポート「Dock for X10」を活用した無人化、省人化への拡張性が検討可能となった。

「Skydio X10」飛行の構成

 実証実験の結果を踏まえ、中日本航空とNTTドコモビジネスは大阪国際空港のドローン点検手法の確立に向け、適切な撮影条件を明確にするなどの支援を継続するとしている。また、撮影データに画像解析AIを活用するなど、さらなる効率化を目指す方針だ。