首都高速道路、首都高技術、JDRONE、エアロセンス、KDDIスマートドローン、NTTコミュニケーションズは、災害時等における迅速で確実な点検手法の確立を目的に、ドローンを活用した往復約2.8kmの自動飛行等の実証実験を首都高速道路の長大橋であるレインボーブリッジにおいて、2025年2月14日に実施した。
実証では、夜間の災害発生を考慮して「夜間飛行時における映像視認性確認の実証」「自動でドローンの離着陸・充電ができるドローンポートを複数使用し、ポート間を往復する長距離飛行の実証」を行い、ドローンで撮影した映像を用いた災害時等における点検手法の有用性を確認した。
首都高速道路では、大規模災害発生時の早期道路啓開を目指し、これまでドローンを活用した点検手法を実証してきた。災害は昼夜関係なく発生する可能性があることから、今回は夜間に災害が発生したことを想定して実証を実施した。
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実証の結果、夜間災害発生時の暗所での飛行における機体選定や点検手法および複数のドローンポートを使用する点検手法の確立に向けて有益な検証結果を得ることができた。一方で、安定した飛行制御・映像配信を目的とした、災害時の即時点検候補エリアの電波環境の調査および使用電波の選定など、より実践的な運用に向けた課題を確認した。
実証実験の概要
日時 | 2025年2月14日(金)11:00~翌2:00 |
場所 | レインボーブリッジ(高速11号台場線) |
項目 | ①高速道路上空を夜間に自律飛行しながら安定した映像をリアルタイムで配信 ②高架下を昼間・夜間に飛行しながら安定した映像をリアルタイムで配信 ③ドローンポートから異なるドローンポートを往復する自動離陸、自律飛行、自動着陸(昼間実施) ④同時に飛行している機体の飛行情報、映像をリアルタイムに取得および一元管理 ※試行検証として、夜間の捜索を想定したドローンに搭載したスポットライト、スピーカからの拡声放送、対象物のリアルタイム位置特定(NTTコミュニケーションズ)、ドローン映像からのリアルタイム人物検出(KDDIスマートドローン)を実施。 |
役割と実証項目
会社名 | 役割 | 使用機体 | 実証項目 |
首都高速道路 | 全体総括 | ― | ― |
首都高技術 | 安全管理 | ||
JDRONE | 実証実施者 | Matrice 350 RTK | ① |
エアロセンス | AS-VT01K | ① | |
KDDIスマートドローン | Skydio X10 DJI Dock 2(Matrice 3TD) | ① ③ ④ | |
NTTコミュニケーションズ | Skydio X10 | ① ② ④ |
検証項目と結果
ドローンおよびドローンポートの適用性 (機体やGPS、通信環境等の確認)
- GPSや通信は比較的良好で途絶することがなかった。
- ドローンポート間を往復する実証では飛行はできたものの、一部映像の通信途絶がみられた。
ドローンで撮影した映像の有用性 (映像精度、現場状況の確認)
- 各映像はリアルタイムに確認することができ、映像は夜間でも道路状況の概略を把握するには十分であった。
- 高架下の飛行においては、機体性能が十分発揮され、高精度な映像を確認することができた。
事前に作成した飛行経路に対する実際の飛行精度 (構造物との適切な離隔保持等)
- プログラムされた飛行経路から逸脱することなく、安定した飛行を行うことができた。
異なる機体の飛行情報の一元管理の可能性 (他のシステムへの伝送確認等)
- 各機体のクラウドから一元管理する他のシステムへの伝送はできたが、一部映像の途絶・遅延を確認した。
当日の様子
夜間飛行(高速道路上空付近を撮影)
JDRONE撮影
エアロセンス撮影
NTTコミュニケーションズ撮影
夜間飛行(高架下を撮影)
NTTコミュニケーションズ撮影
ドローンポートを使用した飛行
KDDIスマートドローン撮影
飛行情報の一元管理
KDDIスマートドローン撮影
※サーマル:対象物の遠赤外線エネルギーを可視化し、映像モニター上に表示するカメラ。光の有無に関係なく暗所でも撮影が可能。