2025年10月15日、建設技術研究所は、砂防、河川、ダム等の巡視、点検業務の省人化や高度化を目的に、ドローンの自動飛行とAIによる土砂流出の検出を行う技術を開発したと発表した。
従来、ドローンを活用する場合は、目視で確認しにくい箇所を点検するために施設管理者がモニターの現場映像を見続ける必要があり、見過ごした箇所は繰り返し見直さなければならず、手間と時間を要していた。
今回開発した技術は、ドローンの自律飛行・動画撮影・災害検知(AI)を一連の仕組みとして構成することで、巡視や点検業務を省人化・高度化する。
自動飛行、遠隔監視にAI検知を組み合わせ、現場巡視の実施事項である現場参集・確認・判断の一連の作業を支援するシステムを構築。実証実験では、砂防現場で自動飛行により映像を取得し、AI画像解析を行い土砂流出箇所を検出したところ、あらかじめ設定した箇所をすべて発見することができた。これにより、従来は人が行っていた定期巡回の自動化が可能となる。
また、過去の災害時の映像をAI検知の基礎情報として蓄積していくことで、検知精度の向上を図ることができる。
流出土砂量は誤差3%程度の精度(参考値)で計測が可能だ。
実証実験を行った渓流は、巡視・点検作業に通常2時間程度を要するが、この技術により30分程度に短縮することができた。こういった巡視・点検対象箇所が多く、時間がかかっている施設での有効性が期待される。
今後、砂防、河川、ダムなどで実績を重ね、より多様な場面で活用できる遠隔監視システムの構築を目指す。AIによる災害情報の学習ついては、多数の映像を蓄積していくことで多種多様な災害への対応を図る。建設技術研究所は、実運用やサービス開始に向けた準備を進めている。
