2025年7月3日、自律航行水上ドローン船(以下、USV)の開発・製造に取り組むOceanic Constellations(以下、オーシャニック・コンステレーションズ)は、シリーズA2ラウンドにおいて、第三者割当増資により総額12億円の資金調達を実施したことを発表した。シリーズA全体を通じて総額17億円の調達となる。
シリーズA1ラウンドに引き続きグロービス・キャピタル・パートナーズがリードする中、エースタートもリード投資家として新たに参画。また、既存投資家のCoral Capitalに加え、新規投資家として東京海上日動火災保険、グリーンコインベスト投資事業有限責任組合が参加した。
同社は、「最多のUSVを最速で社会実装する海洋群制御プラットフォーム」として、ハードウェアとソフトウェアの統合開発を進めている。
オーシャニック・コンステレーションズの取り組み
【海洋コンステレーションによる宇宙産業との相互連携】
オーシャニック・コンステレーションズは、海上に展開する「海の衛星群(Oceanic Constellations)」が、宇宙~水中連携の結節点となる将来構想を持つ。宇宙産業の基幹インフラ構築におけるサプライチェーンとして、また衛星コンステレーションの主要連携先としての「海の衛星群」という構想のもと、宇宙産業セクターにおいてそのコンセプトと有用性について認知が進んでいる。
2025年6月に発表した、再利用ロケット開発に重要な技術である、洋上ロケット回収技術の実現に向けた日本郵船との連携等、宇宙×海洋をテーマにした具体的な取り組みを複数推進している。
【XRコンステレーション・システム】
オーシャニック・コンステレーションズが開発する「XRコンステレーション・システム」は、 リアル機体が実際の海上で取得した各種環境データに基づき、同一システム上において、リアル機に随伴するバーチャル機体を多数生成し、バーチャル&リアルの「混合群」を構成した上で、群制御行動を実施できるシステム。これにより、バーチャルのみでは表現が困難な発生頻度の低い環境変動影響の反映や、リアルのみでは実現困難な多数機体の同時行動制御シミュレーションが可能となる。また、AIによるトレーニングのスケール化、各種行動パターンの法令適用のためのチューニング等を実現する。
XRコンステレーションにより、これまでは実現できなかった海洋上での多数機体配置による群制御において、単一の群制御アルゴリズムだけでなく、さまざまなアルゴリズムによるマルチエージェント行動のシナリオをテスト・評価できる環境が実現されつつある。
同社では、各USVの自律性の付与レベルと、地上管制からの中央集権管理の権限配分において、法令順守およびミッション遂行性の最適なアルゴリズムを評価・選定できる環境を整えている。
