2025年6月4日、東日本電信電話長野支店(以下、NTT東日本)は、長野県松本市における自然災害などの緊急時に孤立地域となる可能性が高いエリアへの「ドローン物流」による支援スキームの構築を行うための実証事業を実施すると発表した。

 2025年度デジタルシティ松本推進機構(DigiMAT)の社会実証プロジェクトの募集において、2024年度に採択された調査研究プロジェクトに続き採択されたもので、「デジタルシティ松本推進機構プロジェクト推進補助金」を活用する。2024年度の調査プロジェクトの結果を踏まえ、今回は2,000mを超える高高度での大型ドローン物資輸送のための飛行実証試験等を行う。

ドローンの飛行ルート
ドローン機体
※ドローン機体はイメージ

 ドローンは撮影、農業、軽量物輸送等に活用が浸透してきている。2024年1月に発生した能登半島地震の際は、被害状況調査や道路の寸断による孤立地域への医薬品の輸送等にドローンが活用された。一方、混乱が予想される被災直後の現場でドローンを速やかに導入するためには、飛行させるためのポートや飛行ルートの事前設定、体制構築等が課題となる。

 今回は、2024年度の調査研究プロジェクトの調査で洗い出された「松本市における過去の孤立地域」「ドローンポート候補地」「大型ドローン機体の最新状況」等をもとに、選定した複数のドローンによる飛行実証試験等を行う。2,000mを超える高高度での大型ドローン物資輸送事例は国内ではほとんどなく、また山間地域の電波状況の事前確認の必要性等、多くの技術的検証要素が予想される中、まずは安全に飛行可能であることを検証する。

実証事業の概要

 災害時において迅速に孤立地域への物資輸送を可能とし、被災地域の命と安全を守る「ドローン物流」による支援スキームの構築に向けて、以下の実証を行う。

プロジェクト名「孤立可能性地域へのドローン物流スキーム構築」実証事業
実施期間2025年5月~2026年2月末
実施内容①飛行実証試験
・2025年7月下旬(予定)、場所:美ヶ原高原(孤立可能性地域)と麓最寄の公共施設グラウンド等
・2025年10月下旬(予定)、場所:乗鞍上高地エリア(孤立可能性地域)から選定
②被災地・松本市・ドローン運航事業者ら関係者をつなぐ運用プラットフォームの検討
③平常時の大型産業ドローン利活用モデルの市場調査

【各社役割】

NTT東日本 長野支店調査研究内容の実施(各種の現状調査、市場調査)、検証とまとめ・報告書策定
※地域の流通・ドローン事業者と協業しながら実施予定
デジタルシティ松本推進機構プロジェクトの推進にかかわる各種助言、関係各所との連携支援、広報支援