2025年5月14日、新出光不動産とDeepForest Technologies(以下、DeepForest)は、新出光不動産の社有林約50haを活用して森林由来のJクレジットの創出プロジェクトを開始したことを発表した。
レーザードローンにより取得した高精度な森林データをDeepForestが解析することで、単木単位で資源量を可視化。この解析結果をもとに、新出光不動産の社有林が有するCO₂吸収量を社会的な価値としてクレジット化する取り組みを進める。
【プロジェクト概要】
| プロジェクト番号 | 582 |
| プロジェクト名 | 熊本県八代市社有林におけるJ-クレジットプロジェクト |
| 申請者 | 新出光不動産 |
| 認証対象期間 | 2024年9月1日~2034年3月31日 |
| プロジェクト実施地の面積 | 49.3ha |
| 創出予定量 | 1401.7t-CO₂ |
新出光不動産は、主伐を目的として熊本県八代市に約50haの森林を取得し、管理を進めてきた。2020年に発生した豪雨災害により、社有林の状況把握が困難になったことから、社有林の可視化を目的として、2023年度に京都大学大学院農学研究科小野田雄介教授と連携し、レーザードローンによる全域計測・地形解析を行い、単木単位での樹種識別、樹高情報、材積量の推定等を行った。
この解析結果から、社有林の多くがスギ・ヒノキの人工林であったためJクレジットとして環境価値の定量化が可能であることがわかり、プロジェクトを開始することとなった。
新出光不動産は2024年度に熊本県内の森林組合と協力し、今後持続可能な森林経営を行うための森林経営計画を策定。その後、森林経営計画を基にJクレジットのプロジェクト計画書をDeepForest支援のもと作成し、プロジェクト登録を完了した。
すでに森林解析を行ったデータはJクレジット制度の地位特定に使用できるため、追加のデータ取得の必要なくクレジットの発行が可能になる。地位とは、対象森林が1年間でどれくらい成長できる能力を持っている土地かを示す指標であり、樹種・林齢・地位が決まればその森林で1年間に吸収するCO₂を計算することができる。Jクレジット制度では、スギやヒノキなどの育成林は地位を特定することが定められており、そのために樹高の計測が必要となる。
このプロジェクトにより、10年間で約1400t-CO₂のクレジットを創出する見込み。創出したクレジットは、新出光不動産のグループ会社内でのカーボンオフセットに使用する予定だ。
