2025年3月6日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、サウジアラビアのジェッダ北部において、CCTV(※1)を搭載した水中ドローンによる下水道検査を実施したことを発表した。
テラドローンがサウジアラビアの国営水道会社であるNational Water Company(以下、NWC)が保有する約38kmにわたる下水道管内の状態を、遠隔操作型の水中ドローン(ROV)を使用して点検した。ドローン技術の活用により、下水道管内が満水の状態でも検査が可能となり、下水道管のメンテナンスの効率化に寄与する。
※1 カメラとモニターが一体化して接続されたシステム。
サウジアラビアでは急速な都市開発が進み、それに伴い新たなインフラの整備も加速している。一方、過去の設計図や管理記録が分散しており、マンホール内の配管の正確な位置の特定が困難で、老朽化した下水道の適切な点検および維持管理が十分に行われていないことが社会的な課題となっている。また、従来の下水道点検方法では水をすべて排水する必要があり、コストの増大や作業効率の低下といった課題があった。
水中ドローンを活用することで、満水の状態でも点検が可能になり、CCTVを搭載することで下水道管内の状況をリアルタイムで可視化し、精緻な検査を実現する。これにより、下水道管のメンテナンスを効率化し、損傷を早期に発見することで修理コストを最小限にする。また、包括的な検査データの収集により管理記録の精度向上にも寄与する。
実施概要
NWCが保有するサウジアラビア・ジェッダ北部の下水道管の検査に、CCTV搭載の水中ドローンを活用し、作業効率を大幅に向上した。
- 水道管の位置特定
地中レーダーを用いて埋設されたマンホールの位置を探知し、パイプロケーターを活用して地中の水道管の位置を特定。これらの調査結果をもとに、道路バリケードや安全標識の設置、マンホールの開放を実施する。 - CCTV搭載の水中ドローンによる下水道管内の点検
CCTVを搭載した水中ドローンを活用し、満水状態の下水道管の様子をリアルタイムで記録。これにより、効率的で正確な検査結果の取得および記録が可能となる。また、400mのテザーケーブルを使用することで、広範囲にわたりマンホール内部や配管内の映像を撮影することができる。 - 下水管内に損傷を発見した場合の対応
検査で損傷が発見された場合、追加の排水調査が必要となる。排水後の下水管内は屋内暗所となるため、屋内点検用ドローン「Terra Xross 1」の活用が期待される。
テラドローンは今後、日本だけでなく潜在的な海外市場においても、下水道をはじめとするインフラ点検分野での事業展開を推進するとしている。