イオスエンジニアリング&サービスは、2025年2月19日から21日まで東京ビッグサイトで開催された「第23回 SMART ENERGY WEEK ~スマートエネルギー WEEK~(WIND EXPO ~風力発電展~)」に出展。同社は風力発電機の運営・保守を手がけ、24時間監視や大型機器交換、ブレードの点検・補修といった風力発電設備に関わる業務を一貫して展開している。今回、ドローンを活用した風車ブレードの外観点検について話を聞いた。

ドローンによる風車ブレード点検の仕組み

 イオスエンジニアリング&サービスは、風力発電機のブレード点検を専門とする関係会社ブレードパートナーズと連携し、スイスのSulzer Schmid社の分析サービス「3DX ブレード プラットフォーム」を活用してドローン点検を実施している。ドローンでブレードの表面を撮影し、損傷の有無や修復・保全の優先度を評価。そのデータをもとに補修計画を提案する。

 風車ブレードは以下の4つの部分に分けられる。

  • PS(Pressure Side):風が直接当たる圧力面
  • LE(Leading Edge):風を最初に受ける前縁
  • SS(Suction Side):風が通り過ぎる吸引面
  • TE(Trailing Edge):風が抜ける後縁

 特にLE(Leading Edge)は風の衝撃を受けやすく、損傷が発生しやすいため重点的な点検が求められる。

写真:損傷した風車ブレード部分
損傷した風車ブレードの例。

AI解析と専門家のチェックで補修計画を最適化

Sulzer Schmid 3DXブレードプラットフォーム画面
撮影したデータから損傷箇所を判断し、分析を行う。
写真:リンク共有するイメージ
損傷箇所は検査レポートとしてリンク共有が可能となり、顧客や修理部門と連携できる。

 ドローンで撮影したデータはSulzer Schmidのクラウドシステムにアップロードされ、AIによって損傷箇所がないか自動で分析が行われる。その後、ブレードパートナーズの専門家が再チェックし、補修の必要性や損傷レベルを評価。これにより、修理の優先度を正確に判断し、最適な補修計画を立案する。

 従来の点検では、技術者がロープやクレーンを使用し、風車の上部からブレードを点検する必要があった。天候に左右されやすく、30基以上の風車を点検する場合、数か月を要することもあった。しかし、ドローンを活用することで点検時間が従来の半分以下に短縮される。
 担当者は「天候の影響を受けにくく、大規模な風力発電所でも短期間で点検を完了できます」と述べている。

ドローン点検の普及と今後の展望

 このドローンによる点検サービスは2021年から提供を開始し、風力発電の拡大に伴い、年々需要が高まっているという。今後、さらなる発電所への導入が期待される。
 担当者は「国内の風力発電所におけるドローン点検の普及を進め、より効率的で安全な風車メンテナンスを提供していきます」と今後の展望を語った。

 ドローン技術とAI解析を活用した風車ブレード点検は、風力発電の安定運用とメンテナンスの効率化を実現する画期的なソリューションとして、今後さらなる発展が期待されている。

#第23回 SMART ENERGY WEEK記事