2025年2月7日、古野電気は、遠隔から定置網の様子をリアルタイムで確認することができるモニタリングシステム「漁視(りょうし)ネット」を2025年2月より販売開始することを発表した。

 漁視ネットは、魚探エコーを使用することで定置網の状況を可視化し、遠隔から確認が可能となるモニタリングシステム。計測ブイを定置網内に設置することで、クラウドインフラを介して定置網内の魚の有無や量、海水温の変化といった状況確認に加えて、魚探映像に表示される底網位置の変化から潮の流れを推測できるため、水揚げのタイミングが判断しやすくなる。

写真:大型ブイ「FMS-100-L」
写真:小型ブイ「FMS-100-S」。直径は大型ブイと同様、大型ブイと比べて高さは低い
左:大型ブイ「FMS-100-L」、右:小型ブイ「FMS-100-S」

【システム構成】

  • 計測ブイ「小型:FMS-100-S/大型:FMS-100-L」
  • クラウドインフラ「FMS-DSR」
  • WEBアプリ「FMS-FD」

 計測ブイは2周波魚探、通信機器、バッテリー内蔵。

定置網に設置された計測ブイ「FMS-100」、海辺の建物の中のPC(WEBアプリ「FMS-FD」)、両者をつなぐクラウドインフラ「FMS-DSR」のイメージイラスト
システム構成
  • 計測ブイ(2種類)
     計測ブイは、小型(FMS-100-S)と大型(FMS-100-L)の2種類。本体は必要な機材を内蔵したオールインワンタイプのFRP製を採用し、堅牢性と設置性を備える。充電式で、小型は7日間、大型は14日間の連続稼働が可能。リモートより電源ON・OFFを行うと稼働日数をさらに延ばすことができる。
  • PCやタブレット等に定置網内の魚探映像を表示
     Webアプリを使いPCやタブレット等に定置網内の魚探映像を表示。魚探の感度を調整して海況に合わせた映像を表示できる。取得した操業データは一定期間クラウドに保存されるため、保存期間内であればいつでも閲覧可能。実際の水揚げに基づいた操業の振り返りや後継者の育成においても操業データの有効活用が期待できる。
    ダッシュボード画面(高周波、低周波の魚探エコー、計測ブイの設置場所、水温・電圧グラフ)
    ダッシュボードは、魚探1周波、2周波、2周波+地図+水温・電圧の3パターンから画面切り替えが可能
  • 魚種を判別する「AI計測」(オプション)
     古野電気の独自AI技術により、取得した操業データを解析して魚種を予測表示するオプション機能「AI計測」。計測結果はコミュニケーションアプリLINEでの通知も可能。入網した魚群の種類がわかることで価値の高い魚を獲り逃すことなく収益向上も期待できる。判定魚種は、サバ、ブリ、イワシ、サワラ、イカ、マグロ、アジなど。対応魚種は順次追加予定。
    AI計測で魚探エコーに表示された魚種(ブリ 99.5%、ブリ 100.0%…)
    AI計測による魚種判別表示例