2024年12月23日、ミライト・ワンは、グループ会社の西武建設と、荒川第二調節池下大久保上流工区囲繞堤(いにょうてい)工事において、BIM/CIM活用工事として、遠隔監視ドローン「Skydio Dock for X2」と3D点群データの自動作成により、土量管理の省人化・迅速化を実現したことを発表した。
工事現場の土量管理は、人手や時間がかかることが課題となっており、従来の人による手動測量では、測量・図面作成・土量計算で計10人工、従来のドローンを用いた測量(操縦者と補助者が現場で飛行操作する方法)では、現場でのドローン飛行や手作業でのデータ処理・3D化・土量計算で計2人工を要する。
今回の取り組みでは、測量に遠隔監視ドローンを活用し、撮影データの解析や3D点群データの作成には自動化ソフトウェアを活用。その結果、計0.5人工の稼働で済み、手動測量に対して1/20、従来のドローンを用いた測量方法に対して1/4の作業時間となった。
取り組みの概要
【遠隔監視ドローン(ドック)】
レベル3飛行(無人地帯での目視外飛行)では、従来は操縦者がモニターを見ながら操作することに加え、第三者侵入の可能性のある箇所には補助者の配置が必要となり、現場には2人以上の人員が必要となる。
同現場は工事関係者や工事車両の通行との調整を図るため飛行時間を限定することや、看板やフェンス等による立入管理措置、飛行計画を通知することで補助者の配置に代わる目視外飛行条件を緩和し、現場の安全対策および順守手法を講じることで現場配置人員の無人化を実現した。
ドローンは遠隔地より操作でき、現場人員を必要とせず、バッテリーも自動充電が可能。
【3D点群作成の自動化】
同現場ではこれまで、3D点群の作成は、ドローンから現場職員がSDカードを抜き取り、本社にデータを転送後、本社職員が手動にてSfM処理を実施し、専用ビューワソフトにアップロードすることで現場との共有を図っていた。
同システムでは、無人飛行後に着陸したドローンがドック内に収納された時点から、データをクラウド上に自動アップロードし、クラウド上で専用ソフトを用いて3D点群を自動作成後、専用ビューワソフトにデータを自動アップロードする。アマゾンウェブサービス(AWS)を利用しており、セキュリティを確保するとともにAPI連携やデータ連携も容易であるため、今後もサービスの拡充が期待できる。
手作業は確認作業とデータ履歴を重ねる場合は統合するだけの作業となり、作業量を大幅に削減。特に手作業では解析時に時間を要していた標定点の位置合わせが、標定点を専用のARマーカーにすることで自動処理が可能となり、作業量低減につながった。
【機器構成】
システム上、SkydioX2はWi-Fiと常時通信接続が必要なため、長距離・広範囲のエリアをカバーすることができるアクセスポイント「DX Wi-Fi」を活用した。現場では高度70m、敷地面積500m×70mの広範囲で常時接続を維持する必要があり、上空での常時通信環境の構築が課題となっていた。
【生産性向上効果】
測量からデータ作成・土量算出までに必要となる人工を比較すると、従来の測量機械を使用した人力による計測では、同現場の測点数から測量に6.0人工、図面作成に3.0人工、土量計算に1.0人工の計10人工を要する。従来のUAV測量では、現場にパイロットと補助者2人が約半日の1.0人工、データ処理・3D化・土量の計算が全て手作業となるため1.0人工(ソフトによる解析時間は除く)の計2.0人工が発生する。
同システムでは、現場に人が必要なく監視だけになるため、現場への移動も無く0.3人工で済み、解析も全て自動化されるため0人工となる(ソフトによる解析時間は除く)。最後は確認作業等が0.2人工で計0.5人工と、手動測量に対して1/20、従来のUAV測量に対して1/4の作業時間となり、生産性が向上した。