2024年12月17日、竹中工務店と鹿島建設、アクティオは、資機材自動搬送ロボットを開発したことを発表した。

 工事用エレベーターに積み込まれた資機材を所定のフロアで荷下ろし、建物のBIM(※1)データから作成した自動走行用地図をもとに、フロアの所定の位置まで自律移動する。2024年7月に、大阪市内の建設現場で実際に自動搬送できることを確認した。

 建設工事では、工事管理上、必要な資機材を必要な場所に遅延なく供給することが重要である。建設現場での資機材搬送は作業員にとって付帯作業であるため、これを自動化することでより高いスキルが求められる作業に専念できるようになる。

 同ロボットを活用することで、休憩時間や夜間など人が少ない時間にも資機材の搬送作業を自動で行うことが可能となり、揚重・水平搬送効率の向上を図ることができる。

 今後、2025年4月までに国内の建設現場で試行を重ね、実用化を図る。

 また、建設RXコンソーシアム「資材の自動搬送システム分科会」の活動を通じて、適用現場数の拡大に向けた改良開発を進め、建設業界全体の生産性や魅力向上を目指すとしている。

※1BIM:Building Information Modelingの略。コンピューター上に作成した3次元の建物モデルに、仕上げ、コスト、管理情報等の属性データを追加したものを、設計から施工、維持管理まであらゆる工程で活用する概念あるいは業務フロー。

資機材自動搬送ロボット 概要

 資機材自動搬送ロボットは、本体上部に2D LiDARとバーコードリーダーを搭載している。2D LiDARは前方270度の範囲の物体を検知し、自己位置の把握に利用する。2D LiDARにより取得した点群データと、建物のBIMデータから作成した自動走行用地図をマッチングさせ、自己位置を推定しながら設定したルートを自律走行する。バーコードリーダーは、搬送対象となる資機材用パレットに貼り付けた2次元コードの位置の検出に利用する。搬送ルート走行時、事前に取得した地図にない障害物などがあった場合は自動で停止する。人によるリモコン操作も可能。

写真:資機材自動搬送ロボット
外形寸法L2,386×W988×H920mm
最大可搬重量2000kg
本体質量660kg
搬送対象パレット、台車、ボード材

自動搬送の仕組み

 資機材自動搬送ロボット、工事用エレベーター、竹中工務店が開発した「建設ロボットプラットフォーム(RPF)」、鹿島建設が開発した「自動搬送管理システム(JHSアプリ)」をそれぞれ連携させることで、資機材の自動搬送の仕組みを構築した。自動搬送管理システムは、搬送予約・調整、搬送ルートの指示および実績収集を行い、建設ロボットプラットフォームは、同システムから指示を受けて各種ロボットの搬送経路をBIMデータと連動させて生成し、運行制御や状態管理を行う。

自動搬送の仕組みを表した図
自動搬送の仕組み