2024年10月31日、大林組とKDDIスマートドローンは、能登半島地震の影響で通行止めとなっている石川県輪島市の国道249号啓開工事に、2024年9月11日より自動充電ポート付きドローンを常設したことを発表した。

 現場に設置したドローンは、月曜日から金曜日まで都内にあるKDDIスマートローンのオフィスより遠隔運航を行う。撮影した写真を低軌道衛星通信Starlink経由でクラウドにアップロードし、その写真から3次元モデルおよびパノラマ写真を生成することで、現場状況をデジタルツイン化する。

 国道249号は、石川県七尾市から輪島市を経由して、能登半島を一周して金沢市に至る一般国道。2024年1月の能登半島地震による地割れや崩落の影響で、輪島市沿岸部の通行止め区間(全長約3km)の啓開工事を大林組が行っている。

 広範囲の土量計算や工事出来高管理など、日ごとの計測作業を従来の現場作業員のみで行うことはほぼ不可能だが、充電ポート付きドローンの遠隔運航により、迅速に現場状況を把握し関係者へ情報共有することで、現場作業を効率化する。

 2022年度に実施した自動充電ポート付きドローンを使った検証事業において現場監理業務を80%削減しており、今回の工事監理業務でも同程度の作業効率化を確認。また、自動充電ポートを活用しない一般的なドローンによる測量と比較した場合、現場までの移動時間や現場での準備、データ処理などにかかる時間(約75分/日)を削減する。

啓開工事現場に設置された自動充電ポート付きドローン、現地と遠隔操縦を行うオフィスの位置関係、KDDIスマートドローンオフィスで遠隔操縦を行う様子、現場の3次元モデルとパノラマ写真
運用状況の概要

 また、2024年9月21日に発生した能登豪雨でも、同運用体制のもとで自動充電ポート付きドローンの運航を継続し、3次元モデルを生成することで、迅速な現場の被害状況把握に活用している。

写真:上空から撮影した、2024年9月20日(能登豪雨前)、2024年9月24日(能登豪雨後)の現場の様子
ドローンで取得した能登豪雨前後での現場状況の変化

 工事現場のデジタルツイン化は、現場状況を把握するだけでなく、ドローン撮影で得たデータとさまざまな工事情報を組み合わせ活用することにより、建設機械施工の自動化などにつなげることもできる。