KDDI、KDDIスマートドローン、イオンリテール、長野県、天龍村の5者は、2024年12月2日から12月5日まで、長野県天龍村において、災害発生時の孤立集落を想定してドローンにより物資を配送する実証を実施した。

 実証では、旧天龍中学校を孤立集落に見立て、モバイル通信を利用したドローンの遠隔自律飛行で食料品や医薬品などの物資を配送した。また、衛星ブロードバンドStarlinkを搭載した車載型基地局を活用し、山間部の電波が届きにくいエリアのモバイル通信環境を確保してドローン運航を行った。

 この実証により、Starlinkを活用して災害発生時に電波が届きにくいエリアが孤立集落となった際も、迅速にドローンで物資が配送できることを確認した。

 なおこの実証は、2024年8月に総務省の「地域デジタル基盤活用推進事業」に採択された「Starlink搭載車載基地局を活用した災害発生時の迅速なドローン物資配送の実現」の取り組みの一環として実施したものとなる。

実証の概要イラスト
実証のイメージ

 長野県は、土砂災害警戒区域の総区数が全国4位の多さ(2万6,950カ所)、地震や大雨などにより孤立の可能性がある集落数は全国最多(1,163カ所)である。

 実証の実施場所である天龍村は、2023年6月に発生した大雨の影響で実際に孤立集落が発生している。孤立集落では、道路が復旧するまで最低でも3日間、可能な限り1週間分の食料が必要で、備蓄がなくなった場合は食料を配送しなくてはならない。また、長野県は多くの山々に囲まれた山間部地形が特徴で、その影響により電波が届きにくいエリアが存在する。

実証について

 実証では、旧天龍中学校を孤立集落に見立て、約4.2km先の和知野川キャンプ場から、約15kgの食料品や医薬品をドローンで配送した。

 ドローン配送は、モバイル通信を利用した遠隔自律飛行(レベル3.5飛行)で行った。実証場所は山間部で電波が届きにくいエリアが含まれているため、衛星ブロードバンドStarlinkを搭載した車載型基地局を活用し、モバイル通信環境を確保した。

空中写真に示された飛行ルート
飛行ルート
写真:配送した食料品や医薬品
配送物

【使用ドローン:DJI FlyCart 30】

写真:ドローン(正面)
写真:ドローンのウインチシステムキット
ウインチシステムキット
メーカーDJI
機体特徴重量物の長距離配送が可能で、貨物モードとウインチモードに対応
大きさ2,800×3,085×947mm(長さ×幅×高さ)(アーム&プロペラ展開時)
最大積載量30kg(デュアルバッテリーモード)
最長飛行時間18分(重量負荷30kg、デュアルバッテリーモード)
最大航続距離16km(重量負荷30kg、デュアルバッテリーモード)
機体重量65kg(DB2000バッテリー2個搭載時)


【Starlink搭載車載型基地局】

写真:Starlink搭載車載型基地局

【各者役割】

KDDI・実証全体の企画・統括
・Starlinkを搭載した車載型基地局の運用
KDDIスマートドローン・ドローン運航
イオンリテール・配送物資の提供
長野県・天龍村・飛行フィールドの提供
・地域住民および関係者への説明