2024年12月17日、KDDIは2025年1月から3月まで、再生可能エネルギーの利用拡大と災害対応力向上を目的に、基地局電源設備の実証を和歌山県で開始することを発表した。
基地局電源設備の再エネ発電・蓄電と電源監視機能を導入し、2026年度の電源設備VPP(※1)化を目指す。
※1 VPP:Virtual Power Plant。家庭などが有する小規模分散型のエネルギーリソースを束ねて制御することで、あたかも一つの発電所のように機能させるもの。
実証では、新たに開発した基地局の附帯電源設備(電源箱・蓄電池)である「Open Power Station(以下、OPS)」に、基地局の電力使用状況をリアルタイムで収集・可視化する電源監視機能を導入するとともに、ドローンからOPSへのワイヤレス充電機能を設置し、動作を検証する。
また、基地局には垂直設置型太陽光発電機器や小型風力発電機器といった自家発電設備を設置し、発電した電力をOPSに充電する検証を行う。OPSに蓄えた電力は、停電などの際に基地局に給電する。
自家発電やドローンを活用して基地局への電力供給ができるようになることで、停電時にも基地局を稼働できる可能性が高まり、災害対応力向上につながる。また、太陽光・風力などの再生可能エネルギーを利用することで、環境負荷低減が期待できる。
KDDIは、実証の結果をもとに基地局へのOPS設置を進め、電源監視・再生可能エネルギー蓄電機能を活用することでVPPへの展開を目指すとしている。
実証概要
1. 電源監視機能
基地局における発電量・消費電力量・蓄電池残量などのデータをリアルタイムで監視する機能の動作を検証する。取得したデータに基づき、停電時に蓄電池の電力が枯渇するタイミングの予測精度を評価する。電力枯渇タイミングを把握することで、優先して復旧すべき基地局の特定が可能になる。
2. 再生可能エネルギー発電機能
・垂直型太陽光発電
基地局の中央部に太陽光発電パネルを垂直設置し、発電効率を評価する。太陽光パネルを垂直に設置することにより、太陽光が斜めから差し込む朝と夕方にも発電量を確保できる。
・小型風力発電
基地局の頂部に小型の風力発電設備を設置し、太陽光による発電が困難な夜間や悪天候の条件下での発電効率を評価する。
3. ドローンからのワイヤレス充電機能
人が立ち入ることが難しい地域にある基地局の蓄電池余力を延命する手段として、ドローンからワイヤレスで充電する検証を行う。