長野県の令和6(2024)年度「ドローン活用信州モデル創出補助金」の採択事業として、上田市と小諸市でドローンによる物資輸送の実証実験が実施される。

 2024年度は4件が採択されており、今回は「災害時に孤立集落となる可能性が高い地域への測量用ドローンを用いた災害時物資輸送の検証」(みすず綜合コンサルタント)、「山間部でのドローンの重量物搬送による新たなビジネスモデル構築」(千曲運輸)を実施する。

 なお、残る2件の採択事業のうち「ドローンを利用した獣害防護柵の管理点検及び有害獣に関する調査」(日亜鋼業)は非公開で実施済み。「山間部・過疎地への医薬品ドローン配送及び緊急輸送用のドローン安全飛行マップ作成」(ASOLAB.)は、今後実施する予定となっている。

災害時に孤立集落となる可能性が高い地域への測量用ドローンを用いた災害時物資輸送の検証(みすず綜合コンサルタント)

 近年の異常気象により、従来の予想を超えた豪雨災害が多発している。災害時に多数の孤立が予想される地域において「汎用的測量ドローン」を活用した物資輸送方法を確立することで、すぐできる孤立対策を前に進めることを目的として実証実験を実施する。

 測量用ドローンによる緊急輸送の実証として、孤立集落となる可能性が高い地域での事前調査に基づく自動飛行、規模の異なるドローンによる緊急物資の輸送、ドローンによる現地状況の把握を行う。使用機体はDJI社製「Phantom 4 Pro」「Matrice 350 RTK」「Mavic Mini」、プロドローン社製「PD8-AW」等を予定している。

離着陸地点と荷受け地点
飛行するドローン
事業災害時に孤立集落となる可能性が高い地域への測量用ドローンを用いた災害時物資輸送の検証
実施者みすず綜合コンサルタント
日時2024年12月10日(火)13:00~15:00

山間部でのドローンの重量物搬送による新たなビジネスモデル構築(千曲運輸)

 浅間山の火山防災施設「火山館」 への物資輸送はヘリコプターでも行っているが、コストが高く、事業者の負担も大きい。県内の山小屋でも共通した課題があり、物資輸送の効率化が求められている。現在山岳地帯や寒冷地でも運用が可能な大型ドローンが登場してきており、こうした最新型ドローンを活用して物資輸送の実証実験を行うことで、効率的な配送方法や災害時の対応力強化を目指す。

 実証では、DJI社製「FlyCart 30」を使用し、ウインチによる物資のつり下げ輸送を行う。 天狗温泉浅間山荘グラウンドから火山館までのルート(往復約6km)を約12分で飛行する予定。

写真:FlyCart 30、飛行するドローン
左:FlyCart 30、右:飛行イメージ
地図上に示された飛行ルート
飛行ルート
事業山間部でのドローンの重量物搬送による新たなビジネスモデル構築
実施者千曲運輸
日時2024年12月12日(木)13:00~14:00