金沢工業大学航空システム工学科の赤坂剛史研究室は、2024年12月10日、大型ドローンの飛行試験を手取川河川敷のラジコン飛行場で実施した。
バッテリー8個を搭載した大型ドローンは約90kgの重量となる。今回の飛行試験では、重り20kg積載、重り40kg積載の実験を行い、浮上することに成功した。
大型ドローンの開発は、同研究室が大学発新産業創出基金事業スタートアップ・エコシステム共創プログラム「R6(2024)年度 TeSH GAPファンドプログラム」ステップ1に採択されて取り組む「最大積載量50kg・飛行距離50km超のVTOL型有翼電動ドローンの事業」の一環。
令和6(2024)年能登半島地震では、被災地の港が隆起したため、救援物資輸送船が接岸できないという想定外の課題が明らかになった。ドローンは充電に数時間を要するほか、物資輸送に使用するには予備のバッテリーも必要となる。
七尾湾から珠洲市までの片道60kmを飛行するドローンの開発は技術的に難しかったため、50kmの飛行を開発目標とした。50kmの飛行距離であれば、沿岸の船から物資を運ぶことも含め、1回の充電で複数回往復ができる。
飛行試験当日は、最大積載量50kgを実現する上で事前に技術的な検討を行うため、試作した機体を使用した。横幅2.5m、奥行き1.5m、プロペラは8つ。バッテリー8個を搭載すると約90kgの重量になる。
ドローンを大型化すると機体自体の振動が問題になることから、まずどの程度振動が生じるかを検証。積載なしでは特に大きな振動がなかったことから、重り20kg積載と重り40kg積載で浮き上がるか実験し、浮上することができた。40kg積載実験直後から雨風がひどくなり、積載量50kgや十分な振動実験は実施できなかった。
同研究室は今回の飛行試験で得たデータをもとに、固定翼をつけた試作機の開発を進め、2025年3月初め頃の飛行試験を予定している。