KDDIとKDDIスマートドローンは、2024年11月14日、東京電力リニューアブルパワーが運営する葛野川ダム(山梨県大月市)において、自律飛行型ドローンによる地震発生後を想定した臨時点検実証を実施した。実証には、Starlinkを活用したauエリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を用いた。
実証では、人に代わり自律飛行型ドローンがダムから半径約2km圏内の点検飛行を行い、ダムに異常がないかを遠隔地からでもリアルタイムに把握可能なことを確認した。地震時一次点検業務の効率化促進により、危険な保守・点検業務から作業員の人命を守ることに貢献する。
葛野川ダムにおける地震発生後の一次点検では、作業員が現場へ出向く必要があった。しかし、ダムへの移動経路は安全状況が不明で、人命に関わるリスクが非常に高い。さらに、一定時間内に全ての点検箇所を目視確認して報告をしなければならないなど、有事においてダムの健全性を迅速に把握することは困難であった。
ドローンなどの活用が期待されていたが、ダム外部からの通信回線の新規引き込みが困難など多くの課題があり、通信環境の改善は進んでいなかった。
実施内容
葛野川ダムの水門上部に、Starlinkと4G LTEアンテナを一体にした架台型のSatellite Mobile LinkをKDDIが設置し、ダムの堤体から調整池上流部約2kmの範囲まで通信環境を構築することで、緊急通報を含めた音声電話やデータ通信が可能となった。これにより、現場の状況を遠隔で確認することに加え、作業支援や緊急対応時の関係者との迅速な連絡などのICT活用を進めることができる。
Satellite Mobile Linkの4G LTEを活用することで、自律飛行型ドローンがダム堤体から半径約2km圏内の状況確認を遠隔かつ自動で行うことが可能になった。これにより、ダムにおける点検業務の省人化・効率化が進むとともに、現場へ向かう道路の陥没・落石などによる人身災害のリスクを低減させる。
飛行から充電までを全て自動で行う自動充電ポート付きドローン「G6.0 & NEST」と、AI搭載自律飛行ドローン「Skydio X10」を使用。4G LTE通信回線でのインターネット接続により、遠隔地から飛行実行や現地の映像をリアルタイムに確認できるほか、ドローンが撮影した映像・写真をクラウドに格納することで、ドローンを操作することなくデータを取得する。