2024年7月8日、MASCは、瀬戸内エリアにおける空飛ぶクルマの事業化に向けたプロジェクト「SCAI28(スカイ28、Setouchi Community AAM Infrastructure 2028)」を開始したことを発表した。

 SCAI28の実施にあたり、SAI(サンワエアロスペースインダストリー)および、ドイツ中国合弁の空飛ぶクルマメーカーであるオートフライトと提携を行う。

 SAIは同社が所有するオートフライトの最新機体および運航チームによる支援、オートフライトは将来のAAM事業化を目指しOEM(製造者)の立場から支援する。

写真:V2000CG
オートフライト「V2000CG」

 MASCは、2025年に開催される大阪・関西万博の後を見据え、大阪から北九州に広がる瀬戸内エリアにおける空飛ぶクルマの事業化を目指し、プロジェクトSCAI28を開始する。

 瀬戸内エリアは、大小さまざまな島が点在する美しい海や歴史的な名所が多数存在するなど、大きな観光資源を持つ。みかんなどの柑橘類や牡蠣といった海産物を産出し、瀬戸内海沿岸には大規模な工業地帯や産業都市が発展している。

 一方、人口減少や高齢化問題に加え、瀬戸内海沿岸部と内陸部や離島では交通アクセスの格差が拡大している。沿岸部では、新幹線や高速道路、フェリー、本州と四国を結ぶ幹線橋(瀬戸大橋、しまなみ海道など)といった交通インフラが整備されているが、内陸部のアクセス網や離島交通は地域住民の生活に直結する重要なインフラでありながら、十分な整備が進んでいない。

 MASCでは、新たな空の交通手段として注目されるAAM(Advanced Air Mobility:空飛ぶクルマ事業)を活用することでアクセス格差を改善し、地域の人口減少や高齢化問題の解決、地域産業振興を目指す。

【SCAI28の目標】
内陸部や離島間アクセスの改善(既存交通インフラとの相乗効果)
AAMを活用した訪問医療などの住民サービス改善
瀬戸内の観光資源への交通アクセス改善
AAM付帯産業および人材の育成