2024年6月13日、FullDepth(フルデプス)はエイト日本技術開発、島根県と共同で、内閣府総合海洋政策推進事務局の「自律型無人探査機(AUV)利用実証事業」に採択されたことを発表した。

 2023年12月、政府の総合海洋政策本部が「自律型無人探査機(AUV)の社会実装に向けた戦略」を策定し、国主導のもと官民が連携してAUV産業を育成することが具体的に示された。AUVは省人化や海中の可視化への有望な技術である一方、国内での利用事例が少なく、潜在的な利用者にとって期待通りのデータが得られるか、十分な費用対効果があるか等の懸念がある状況だ。

 そこで同事業では、新たにAUVの利用が期待される現場海域で実証実験を行い、既存のAUV等を使用して実際にデータを取得することでその効果を示すとともに、利用時に生じる課題を抽出し、2030年までの事業化につなげる。

実施内容

 広域の効率的な情報収集を得意とする巡航型AUVを、防波堤などの水中インフラ点検に適用するには、1)取得データの信頼性、2)鉛直面(壁面)のデータ取得性、3)手動・自動の切り替えによる精査・概査の効率的実施、の3つの課題がある。

 同事業では、これらの課題に対応した実証実験を、自動操縦機能を搭載した同社の産業用水中ドローン「DiveUnit300」およびエイト日本技術開発が保有するAUVを組み合わせて行うことで、AUVが適するインフラ点検のユースケースを選定するとともに、これらの課題を解決する点検技術の確立による事業化を目指す。

地図画像に示された実証実験エリア
実証実験のイメージ
白い枠組みのDiveUnit300の正面画像。中央部分にはカメラを備える。
使用機材:FullDepthの産業用水中ドローン「DiveUnit300」
黄色いボディで細長い円筒形のAUV
使用機材:エイト日本技術開発 AUV

FullDepth 代表取締役社長 吉賀智司氏 コメント

 今回、内閣府様より「自律型無人探査機(AUV)利用実証事業」に採択いただきました。当社にとって、AUV関連の実証実験として初の採択であり、AUVに関連したプロジェクトとしては国土交通省様によるSBIRフェーズ3基金事業(※URLご参照)に続いての採択となります。水中における省人化・業務効率化・DX化の推進には、陸上や空中と同様、「自動化・自律化」の技術が重要になると考えております。AUVを早期に社会実装することを見据え、皆様に良い成果発表ができるよう邁進して参りますので、今後ともご指導・ご支援のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。

※令和4年度補正予算「中小企業イノベーション創出推進事業費補助金」(国土交通省)
https://www.teitanso.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/11/採択結果(第二分野第1弾)-1.pdf