2024年6月3日、ブルーイノベーションは、ドローンポートシステムを活用し、点検や監視、警報などの広域巡回を自動化する「BEPポート|ドローン自動巡回システム」のトライアルサービス提供を開始したことを発表した。トライアルサービスの参加企業・法人を2024年6月5日から専用ホームページなどで募集する。

 同システムは、自動離着陸・充電が可能なドローンとドローンポートシステムで構成されており、施設内や建設現場、河川、ダムなどの点検や監視、警報などの広域巡回を、現場で人が介在することなく定期的に実施する。

 要望に応じて、複数の異なるメーカーのドローン、ドローンポートとのシステム連携や、災害時のJアラート等と連動した災害直後の状況把握や避難警報にも対応する。

左:ドローンポートシステムから自動離着陸するドローン、右:リアルタイム監視が可能なユーザーインターフェース

 同システムは、従来の人での巡回による点検や監視、状況把握にかかっていた時間や手間を自動化し、クラウド上で管理・データ化することで各種業務を効率化。施設状況を即時に把握したい緊急時には、遠隔からリアルタイム監視が可能。点検員のリスク軽減や安全確保にもつながる。

主な特徴

1. 自動離着陸、自動巡回、自動充電、データ取得・管理

 全自動化により、平時のダム・河川などのインフラ施設の点検や監視の広域巡回を効率化。災害後の緊急点検など、緊急を要する自動飛行にも素早く対応できる。

2. 複数台のドローンが高精度に自動巡回

 高精度な飛行経路・撮影設定を行った飛行計画により、自動巡回点検を高精度化。複数台のBEPポートを配備することで、複数台のドローンが連携し広範囲の巡回が可能。

3. 遠隔でのリアルタイム監視機能

 インフラ施設・ダム・河川などの広域巡回点検や災害直後の被害状況を、遠隔からリアルタイムに確認可能。なお、BEPポートのシステム部分(ドローンポート情報管理システム「BEPポート|VIS」)は、国際標準規格ISO5491に準拠している。

「BEPポート|ドローン自動巡回システム」利用イメージ

 2022年12月に施行された改正航空法により、ドローンのレベル4飛行(有人地帯における目視外飛行)の基盤が整い、ドローンの目視外・全自動化に対する期待が高まっている。物資輸送や点検・巡視・災害時の状況把握や二次災害の防止などの分野での、さらなる活用が期待される。

 ドローンを目視外・全自動化で運用するには、運用者がいない場所で安全に自動飛行することだけでなく、自動で離着陸する必要がある。また、機体の充電や周囲の安全確認が非常に重要となる。

 ブルーイノベーションは、国土交通省や東京大学と共同で、2016年から独自のデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform」をベースに、ドローンポートの稼働状況や運用状況の管理、ポート周辺の安全確認などをリアルタイムに行う「ドローンポート情報管理システム(VIS)」とドローンポート本体から成るドローンポートシステム「BEPポート」の研究開発に取り組んできた。2020年4月から進めてきた「ドローンポートシステムの設備要件に関する国際標準規格(ISO5491)が2023年6月に正式採択・発行されたことを受け、同規格に準拠したドローンポート情報管理システム「BEPポート|VIS」の提供を2023年8月より開始した。

 BEPポート|VISに続き、ダムや河川などのインフラ施設の広域巡回点検や監視、災害時の避難警報など、さまざまなユースケースに対応するシステムとして、BEPポート|ドローン自動巡回システムのトライアルサービス提供を開始する。

適用事例

・仙台市津波広報ドローン事業

 2022年10月より仙台市が本格運用を開始した「津波避難広報ドローンシステム」。東日本大震災に係る復興の経験と教訓から開発・導入したもので、Jアラート(全国瞬時警報システム)と連動してドローンが自動離着陸・飛行し、津波避難広報と状況撮影を全自動化。

・能登半島地震災害支援 土砂ダムの自動監視

 2024年1月に発生した能登半島地震による二次災害に備え、石川県輪島市においてドローンポートから自動離着陸するドローンにより、河川上流の土砂ダム決壊の危険性を定期監視した。