2024年5月30日、ブルーイノベーションは、北陸電力送配電が、同社管内の架空地線点検業務への本格運用を目指し、送電線ドローン点検ソリューション「BEPライン」の導入検証を実施したことを発表した。

 北陸電力送配電では、頻発する「冬季雷」による送電設備の点検方法とその費用が課題となっていた。冬季雷とは、北陸地方特有の冬の雷のことで、雷雲が夏よりも低空で形成されるため、同じ場所へ短時間に何度も落雷し、夏の雷の数百倍ものエネルギーを持つものも多い。

 送電線への落雷を防止するため「架空地線」という避雷用の電線を設置しており、落雷による架空地線の素線切れやアーク痕などの設備損傷箇所を把握するため、定期的な点検を行っている。

架空地線の素線切れ

 定期点検は春先に1年で450kmずつ、5年かけて総距離2300kmをヘリコプターから撮影し、動画を持ち帰って目視点検を実施している。しかし同社管内ではヘリコプター事業を撤退する企業があり、従来の点検手法の継続が課題となっていた。

 そのため同社は、現在の点検品質を保ち、かつ点検員が容易に扱えるような機材で架空地線の点検ができること、天候に優れない時期が多いため限られた期間の中でも利用できるという条件を満たすBEPラインの導入検証を行った。

 BEPラインは、たわみや揺れのある送電線に沿ってドローンがワンクリックで自動追従飛行し、点検に必要な各種データを撮影・取得することで点検業務を自動化・効率化する。

 導入検証では、北陸電力送配電が保有するDJI製ドローン「Matrice 300 RTK」に、BEPライン専用モジュールを取り付け、架空地線の点検を実施した。ヘリコプターで撮影した画像を持ち帰り目視点検を行っていた従来の点検方法と比べてコストや労力が抑えられ、リアルタイムでの目視点検が可能となり、ドローン操縦に慣れていない点検スタッフでもシンプルな操作で点検ができた。

 同社は今後、本格運用に向けた検討を進めるとしている。

BEPライン専用モジュールを搭載した「DJI Matrice 300 RTK」