2024年4月25日、斉藤建設とOceanic Constellations(オーシャニック・コンステレーションズ、以下OC社)は、由比ガ浜湾内における海中遺物探査プロジェクトを発足することを発表した。

 斉藤建設は、文化財発掘分野において鎌倉の文化遺産を発掘調査してきた実績を持ち、文化財に関する見識等を有している。2023年11月に設立されたOC社は、水上ドローン船ネットワーク「海の衛星群」の実現を目指す海洋スタートアップ企業だ。両社ともに鎌倉を拠点にしている。

 OC社が開発を進めるドローン船技術・ソナー技術および通信ネットワーク技術は、海底の探査を安価かつ簡易に実施できる。斉藤建設の文化財発掘の知見を海中に沈む文化財についても生かし、鎌倉の新たな文化財の発見を目指してプロジェクトを発足した。これまで鎌倉では、海岸から離れた海中における文化財調査を網羅的に行った事例はないという。

プロジェクトの概要

 遺物に触れない所在調査のみを対象として、主にソナー等による海底地形の把握と、ROV(遠隔操作型の無人潜水機)を用いた光学カメラによる重点箇所の撮影調査を主眼とする。海中での遺物探査の専門的見識を有するテクニカルアドバイザーとして、水中音響工学のプロフェッショナルである土屋利雄博士を迎える。

 プロジェクトでは、全長・全幅2m以内の、船舶に該当しない遠隔操縦水上無人機(ラジコン船に類似)を利用する。水上無人機は海岸から遠隔で操縦し、2〜4ノット程度の低速な走行で撮影を行う。故障等の事態に備えて近隣の漁業者と連携し、機体の回収を即時行える監視体制のもと、鎌倉地域における各種事業者への影響を最小限にするよう配慮しながら実施する。

時期:2024年4月下旬~2024年6月頃 ※海開きの準備時期まで
時間帯:11:00頃~15:00頃 ※漁業時間帯には実施せず

 行政の埋蔵文化財保護部局および教育委員会への海中遺物に関する所在情報提供を行うことを成果として目指す。実際に海中遺物が発見された場合は、埋蔵文化財保護部局に連携し、発掘調査については専門の水中遺物発掘事業者に情報提供を行うことを想定している。