2024年2月26日、サイスガジェットは、オーストラリアのOciusTechnology(以下、Ocius社)と代理店契約を締結したことに伴い、同社のセーリング型USV(無人水上艇)「Bluebottle」の販売ならびに同USVを用いた海洋データ計測サービスの国内提供を開始することを発表した。

 Bluebottleは、苛酷な気象環境下で数カ月以上の海洋観測ミッションを遂行できる自律無人水上艇。オーストラリア海軍がASW(対潜水艦戦闘)用途で5隻を所有するなど、堪航性が要求される分野で採用されている。

Bluebottle BETHクラス

 Bluebottleは、遠隔操作で収納・展開が可能な大型ソーラーパネルを搭載したハードセイルが特徴。従来のセーリング型USVはハードセイルが収納できず、暴風下では海洋観測が困難で、強い向かい風の中では前進効率が著しく損なわれていた。Bluebottleは、暴風下ではセイルを収納した状態で太陽光発電を行い、電気推進で前進することができる。長期間にわたり日照が不足する場合は、艇が波で上下運動する力を前進推力に変換するフリッパーフィンの効果で航行を継続する。

航行モードに合わせて起倒可能なハードセイル
波の力を推進力に変えるフリッパーフィン

 2023年11月、シドニー近郊のジャービス湾で、オーストラリア、イギリス、アメリカの三国間軍事同盟(AUKUS)のASWサポートを主要ミッションとして行われた無人システム軍事演習では、複数のUSVで参加したBluebottle艦隊が、風速13m~15m/秒、時には25m/秒を超える暴風状態の中、あらかじめ設定されたコース通りに曳航ソナーアレイによる海中探索を完了することができた。

海中探索を行う様子

 Bluebottle USVは3タイプあり、最新設計のBathy Class USVは5kWディーゼル発電機を搭載している。最大4kW、平均850W(30日連続)の電力供給能力を備え、沿岸水深測量に必要なマルチビーム測深機や、洋上風力発電サイトの事前調査に必要な地層探査ソーナーが活用できる。科学魚群探知機、気象観測センサーなどにも対応し、海上での1カ月~数カ月以上にわたる長期観測が可能だ。

BlueBottle(OciusTechnology)