2024年4月2日、テラドローンは、同社子会社でベルギーに本社を置く運航管理システム(UTM)プロバイダーのUnifly NV(以下、ユニフライ)が、有人機の航空交通管理システムとU-space(※1)の統合を目指すプロジェクト「CORUS-XUAM(コーラス・エックス・ユーエイエム)」において、欧州の6つの都市を対象に、都市部や空港周辺といった運用が難しいとされる環境でドローンや空飛ぶクルマなどの都市航空交通(UAM)を飛行させる実証実験に成功したことを発表した。

※1 U-space:欧州のドローン実装のための規制の枠組みまで含めた運航管理に関する概念。

 同プロジェクトでは、イギリスやフランスなど欧州の6つの都市で、ドローンなどの無人航空機システム(UAS)と空飛ぶクルマをはじめとする電動垂直離着陸機(eVTOL)を使った大規模な実証実験を実施した。

 それぞれの実験では、旅客輸送や物流、緊急対応、監視といった目的を設定し、都市、郊外、都市間といった異なるシチュエーションのもと、現行の有人機の航空交通管理システムとの統合運用を検証するため、住宅などが密集する都市部をはじめ、有人機の航空交通管理システムによって制御された空域や空港近隣エリアを含むリスクが高いとされる環境下で、有人機オペレーションと並行して飛行実験を行った。実験では、ユニフライのUTMを使用した。

各国で実施した実証実験のイメージ

 ベルギーでは、アントワープ・ブルージュ港周辺の都市部で展開。同港は2つの国際空港に隣接しており、監視やインフラ設備の点検でドローンを日常的に使用している。実験は、UAMの安全な運用のためのガイドライン策定に焦点を当てて実施した。ユニフライのUTMは、状況認識、運用認可の課題への対応、UAMの拡張性を実現するためのソリューションとして活用された。

 実験結果は、UAMのニーズ・規制の進化や、他の研究開発プロジェクトからのフィードバックを反映させることでU-spaceの参照マニュアルとして機能する運用計画書(ConOps)に活用された。

 プロジェクトの成功を受け、SESAR(※2)の共同事業体は、他のプロジェクトにもこの成果を活用し、研究と実験を続けている。

※2 SESAR:新世代の航空交通管理システムの開発を目的とした欧州の航空管制の近代化プログラム。