テラドローンは、2024年3月21日、ドローン運航管理システム(UTM)を提供する米国のAloft Technologies(以下、アロフト)に出資し、筆頭株主になったことを発表した。この協業を通じて同社は、ドローンや空飛ぶクルマの世界最大市場とされる米国に参入する。
米国では、ドローンが日本の約2.4倍、有人機は約62倍の機体が登録されている。多くの企業がドローンや空飛ぶクルマの開発を進めており、米国は次世代エアモビリティ市場として注目されている。
【米国と日本におけるドローンと有人機の登録機体数】
国名 | ドローン | 有人機(固定翼/回転翼) |
---|---|---|
米国 | 790,918 (2023年12月末時点) | 174,336 (2022年12月末時点) |
日本 | 331,202 (2023年2月末時点) | 2,812 (2024年1月末時点) |
(出典:FAA, Drones by the Numbers/FAA, General Aviation and Part 135 Activity Surveys/国土交通省「次世代航空モビリティに関する検討状況について」/国土交通省「登録航空機数」)
2015年に設立されたアロフトは、UTMを提供するスタートアップ企業だ。Boeing(ボーイング)のコーポレート・ベンチャー・キャピタルや、保険会社のTravelers Insurance(トラベラーズ)などからも出資を受けている。米連邦航空局(以下、FAA)認定のUASサービスの大手サプライヤーで、2018年にFAAが実装した米国のUTMにあたるLow Altitude Authorization and Notification Capability(LAANC)では、84%以上のシェアを持つ(※1)。
同社のUTMを通じて、これまでに全米で100万件以上のドローンの飛行承認申請が実施されている(※1)。
クラウドのドローンフリート管理システムを提供しており、機体やパイロットの情報を一元管理。飛行前から飛行後までのワークフローを効率的に管理できるほか、機体や資産の管理、飛行計画、安全な飛行制御、リアルタイムのライブビデオ共有や双方向音声コミュニケーションが可能だ。同社のソリューションは、さまざまな業界の企業、政府関連機関から個人のドローンパイロットまで幅広く利用されている。また、セキュリティの認証規格であるSOC2 Type2及びISO 27001を取得している。
今後テラドローンは、米国市場でのUTM事業を拡大していくとともに、アロフトが持つ特許取得済みの技術をもとにしたUTMやフリート管理技術の横展開を検討するとしている。
※1 FAA LAANCレポートとアロフト・ユーザー・データをもとに算出。
各社コメント
Aloft Technologies 創業者兼CEO ジョン・へグラネス(Jon Hegranes)氏
UTMの統合は、グローバルにおけるドローン運用の拡大や拡張性、持続可能性にとって極めて重要です。今回の出資によりテラドローンと協業することで、今後のUTMのイノベーションの最前線に立ち、標準化を促し、両社の持つ技術を活用することで、グローバル規模でドローンの効率性や拡張性を向上させるまたとない機会となることを確信しています。
テラドローン 代表取締役社長 徳重徹氏
私たちの目標は、ドローンや空飛ぶクルマが日常生活で安全に活用される未来を実現することです。これを実現するためには、UTMの実装と運用が欠かせません。2016年のドローン黎明期からこのUTMに注目しており、この分野の先駆者であるUniflyへの出資を開始してから既に8年が経ちました。ドローンや空飛ぶクルマが発展に向けた新たな段階へと進む今、私たちはUTMの推進により一層注力していくべきだと確信しています。特に、市場規模が最も大きいとされる米国への積極的な進出を計画しています。このたび、米国市場をリードするAloftに出資し、筆頭株主となることで、米国を起点にUTMのさらなる発展に寄与していく所存です。