2024年4月2日、住友重機械工業、商船三井、MOLシップマネージメント(以下、MOL SHIP)は、鉄鋼壁面走行ロボットが、船舶の点検業務を目的とした実証試験に基づき日本海事協会の審査を受け、「Innovation Endorsement認証」を取得したことを発表した。

 Innovation Endorsementは、海事・海洋ビジネスの持続的な進化に貢献するため、革新的な取り組みに対して、第三者機関である日本海事協会が認証し、その展開をサポートするもの。

鉄鋼壁面走行ロボット

 同ロボットは垂直壁や曲面、凹凸に対する高い走破性を備え、人やロボットのアクセスが困難な高所へ移動し、当該部分の写真撮影や点検を行う。オペレーターの遠隔操作による鉄板の板厚計測も可能で、0.01mm単位の測定精度を有している。閉所空間における作業にも対応し、船員の酸欠等のリスクを回避することができる。

 今回の実証試験の成功を受け、住友重機械工業が有するロボット開発・製造技術、商船三井およびMOL SHIPの船舶運航・管理技術をさらに発展させるとともに、ロボット性能・機能の向上やロボットにより得られる詳細なデータを利用したDX化を目指すとしている。

実証試験について

 日本海事協会の立ち合いのもと、船倉(貨物を積み保管する空間)内でロボットの実証試験を実施した。その結果、従来のロボットでは実現困難な船倉の隅・角・段差の乗り越え、壁面点検画像の取得、板厚の計測に成功した。

壁面走行ロボットの船倉走行実証実験の様子

【各社役割】

住友重機械工業、住重アテックス
ロボットの開発、オペレーションを担当し、船倉壁面の走行試験を実施。住重アテックスは、特に検査機能部分の開発に協力。

商船三井、MOL SHIP
船上でのロボット活用アイデアの創出、および実現するための課題抽出を担当し、実験場所として鉄鉱石運搬船を提供。