2025年1月13日、川崎重工業(以下、川崎重工)は、日本UAS産業振興協議会(以下、JUIDA)と連携して、南海トラフ地震の発生を想定した実動訓練である「南海レスキュー2024」(実施主体:陸上自衛隊中部方面隊)に参加した。

 災害時における無人航空機運用の知見を持つJUIDAの支援を受け、川崎重工が開発する無人ヘリコプター「K-RACER」を用いて、災害によって孤立した地域への支援物資の輸送を想定した実証を実施。無操縦者航空機による、物資の荷揚げから荷降ろしまでの一連のプロセスを人の手を介さずに行う無人物資輸送に成功した。

写真:砂浜に置かれた物資、無人ヘリコプター
写真:物資を吊り下げて飛行する無人ヘリコプター
「K-RACER」による物資輸送実証の様子(訓練会場:三重県志摩市 志摩総合スポーツ公園)

 川崎重工は、K-RACERを活用し、平時と災害時の両面で新しい物流網の構築に貢献することを目指している。平時には、国内の山小屋への物資輸送、送電鉄塔の建設保守現場への資機材輸送をはじめとする山間地を中心とした公共インフラの維持・更新に活用し、災害が発生した場合は迅速に被災地に移動し、孤立した地域への救援物資の輸送、復旧工事の運搬などの各種支援活動に活用する予定だ。

 今後、災害発生時に被災者の生活維持に不可欠な物資を迅速に輸送するプッシュ型支援の実現を目指すとしている。

写真:隊員が箱から物資を取り出す様子
「K-RACER」で輸送した物資を確認する陸上自衛隊の隊員

「K-RACER」基本仕様(K-RACER X2)

写真:飛行するK-RACER
メイン・ローター直径7m
最大搭載量200kg
最大速度約140km/h
駆動方式レシプロ・エンジン
燃料ハイオクガソリン
航続距離100km以上
連続運用可能時間1時間以上
耐風性約18m/s