2024年10月21日、国土交通省は「令和6(2024)年度 海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業」として、4件を選定したことを発表した。海の次世代モビリティの沿岸・離島地域における新たな利活用を実証する。
沿岸・離島地域の海は、高齢化・過疎化による担い手不足、インフラ老朽化、海域の自然環境劣化等、多くの課題がある。いわゆる海のドローンと呼ばれるAUV(自律型無人潜水機)やASV(小型無人ボート)、ROV(遠隔操作型無人潜水機)等の海の次世代モビリティは、省人化や海の可視化等を可能とする技術であり、沿岸・離島地域における課題解決への活用が期待されている。
国土交通省では、2021年度より、海の次世代モビリティについてさまざまなユースケースへの利活用の実証実験を行い、社会実装の推進に取り組んでいる。今回、2024年度の実証実験の提案を公募し、有識者による審査を経て4件を選定した。なお、実証実験の成果は2024年度末の公表を予定している。
代表者(五十音順) | 実証実験の名称 |
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宇部セントラルコンサルタント | ASVを用いた有害赤潮の早期発見手法に関する実証実験 |
九電ドローンサービス | 空海ドローンを活用したカモと共存する地域社会づくり |
大歩 | 自動航行型無人潜水機(AUV)と音響技術を組合せた沿岸漁場総合測定システムの実証実験 |
炎重工 | 水陸両用ドローンを活用した沿岸部治水施設の点検実証 |
宇部セントラルコンサルタント
ASVを用いた有害赤潮の早期発見手法に関する実証実験
有害赤潮による水産被害を抑えるため、ASVを用いて有害赤潮となるプランクトンが滞留しやすい領域で、鉛直方向のクロロフィル蛍光値等のリアルタイム計測を行う赤潮調査の実現を目指す。
九電ドローンサービス
空海ドローンを活用したカモと共存する地域社会づくり
養殖海苔のカモによる食害や羽毛混入被害への対策として、ドローンなどでカモの生態調査を行った後、船上から水上ドローンを操縦したり、湾岸部から水上ドローンを自動航行させたりして、カモ誘導と羽毛回収を検証する。
大歩
自動航行型無人潜水機(AUV)と音響技術を組合せた沿岸漁場総合測定システムの実証実験
小型AUVに音響と海洋環境を測定する機器を搭載し、底生生物の生息状況、海底地形、海洋環境の3つの沿岸漁場情報を同時に取得する新たな用途を実証する。