ワールドスキャンプロジェクト(以下、ワールドスキャン)は、2024年6月5日、佐賀県沖合の海底で沈没船を発見した。

 共同研究先の九州大学が取得したマルチビームソナーのデータをもとに、沈没船が沈んでいるであろう座標位置を特定。その後、ワールドスキャン独自開発の金属探知センサー「ジカイ」を搭載した特殊仕様の水中ドローンを海に投入し、水深60mの海底地点で沈没船を発見した。

沈没船と見られるデータ

 水中ドローンが取得したデータでは、沈没船はかなりの堆積物に覆われており、人工物と判断するのは難しかったが、金属探知センサーの磁気反応により鉄の構造であることが判明。マルチビームのデータと照らし合わせた結果、巨大な沈没船と特定することができた。

特殊仕様のJIKAIセンサー搭載型ROV
見つかった船体の一部

 金属探知センサーのジカイは、従来のセンサー(フラックスゲート方式等)とは異なり強力な磁気を帯びた物体にセンサーを近づけても狂わないため、水中ドローン自身が発する磁気による影響や干渉を受けずに遠隔探査が行える。サイズはコンパクトで、海底での温度による影響を受けにくい強固な対環境設計。どのような磁気環境に晒されても正確な磁気探査が可能だ。

 人の手が届かない深海探査、海底ケーブル探査、地雷探査、ローバーによる惑星探査など、過酷な環境での活用が期待される。

 なお、今回発見した沈没船の場所は、ワールドスキャンが開発した3Dスキャン装置「叢雲(むらくも)」を使用して3D測量を行い、沈没船の詳細を解明していく予定。同社は今後もさまざまな場所で探査を行うとしている。