パーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)は、企業の管理職1,533名を対象とした「ドローンとMaaS(Mobility as a Service)に関するユーザー動向調査」を実施し、2024年5月31日、その結果を公開した。

 政府や企業は、デジタル技術をまちづくりに活用するスマートシティの取り組みにより、労働力不足や少子高齢化などの社会問題の解決を目指している。ドローンやMaaSといったソリューションの活用は全体の最適化やシナジー効果が期待されており、利用する企業も増えているが、社会インフラの高度化にはこれらソリューションの一層の普及が求められている。

 パーソルP&Tは、こうしたソリューションを利用する企業の取り組みや期待される効果、全体最適化のための重要な要素であるドローンやMaaSから取得できるデータの活用について調査を実施。また、既存業務の知見がある人材がドローンやMaaSのスキルを保有した場合の想定年収についても調査し、企業や自治体のリスキリング戦略においてスキル習得を促進するため併せて結果を公開する。

「ドローンユーザーとMaaSに関する動向調査」概要

調査期間 :2023年11月21日~11月22日(インターネット調査実施期間)
有効回答 :1,533人
調査方法 :インターネット調査
調査対象 :従業員規模100人以上の企業における、経営、事業企画、新規事業開発、経営企画担当の課長職以上
調査結果の詳細 https://www.persol-pt.co.jp/drone/download/form-30/

調査結果サマリー【ドローン】

1. 活用状況と活用にあたっての課題

ドローンの利用実績のある企業は22.2%へ。

ドローン活用の課題は「コスト」「安全性」「機体性能」が挙げられており、利用実績のある企業では実運用に関わる「機体性能」「ソフトウェア性能」への課題意識が高い。

課題解決にあたっては「リサーチ/コンサル」「事業パートナー紹介」「人材育成」「プロジェクト/運航/安全管理等」への期待が多い。

ドローンスキルが加わった人材の年収は1,000万円も想定。

2. データ活用とサービスへの期待

SaaSによるデータ解析は8割弱が利用意向を持っており、1か月の許容金額は10万円から250万円未満までの各レンジで10%以上。年間3,000万円が1つのラインとみられる。データ連携基盤や都市OS等を介したデータ・解析結果の外部提供意向を持つ企業は半数を超えている。

データ活用にあたって「人材不足」「社内ルールの未整備」「コスト」「知識や情報不足」を課題と挙げる企業が多く、解決策として「コンサルティング」「人材育成」などのサービスが望まれている。

ドローンに関する主な調査結果

1. 活用状況と活用にあたっての課題

ドローンの業務利用・検討の有無

 ドローンの利用実績は22.2%、検討実績は合計で17.1%。製造業の回答数が多いことから、利用実績は「製造業」「建設業」、検討実績は「製造業」企業で数が多い。一方、割合でみると利用実績は「建設業」「電気・ガス・熱供給業」などで高い。

ドローンの業務利用・検討有無

ドローンの業務利用にあたっての課題の解決策として期待されるサービス (複数回答)

 すべての課題を俯瞰して見た場合、「リサーチ/コンサルティング」「人材育成」「プロジェクト/運航/安全管理」に関するサービスへの期待が大きい。「リサーチ/コンサルティング」など実運用の前段階の課題への解決策への期待がまだ多い状況とみられる。

 スキル不足の課題に対して「人材育成」、規制による飛行制限に対して「飛行計画策定」など、具体的な課題に対してのサービスが望まれる。

ドローンの業務利用にあたっての課題の解決策として期待されるサービス(複数回答)

現状のスキルに加えてドローンの経験スキルを獲得した人材の想定される年収

 現状のスキルに加えて、ドローンの経験スキルを獲得した人材の想定される年収については、利用実績ありの企業で「1,000万円以上」の合計が25%以上となり高額年収が想定される。検討実績ありの企業も含めると「500万円~700万円」がボリュームゾーンとなっている。

現状のスキルに加えてドローンの経験スキルを獲得した人材の想定される年収

2. データ活用とサービスへの期待

データ解析で確認している指標 (複数回答)

 データ解析により確認している指標では、「コンクリートの内部欠陥」「外壁タイルの浮き・剥離」が40%ほどで並んで高く、以下「コンクリートの変質」「鉄筋の露出」「構造物のひび割れ」「鉄鋼のサビ」と続き、点検用途での活用とみられる項目が上位を占める。

データ解析で確認している指標(複数回答)

データ解析結果の外部提供意向

 取得したデータや解析した結果を、データ連携基盤や都市OS等を介して外部提供することについては、「すでに提供している」が12.5%、「提供したい」が41.6%、合わせて54.1%が外部への提供意向をもつ。現状では、実運用よりは社会実験などが多いと考えられる。

「すでに提供している」の割合は、企業規模が大きいほど高い。「建設業」「電気・ガス等」では、提供意向(すでに提供している、提供したい)をもつ企業が合計で4割に留まっており、他の業種より低い傾向である。

データ解析結果の外部提供意向

データ活用に関する課題の解決策として期待されるサービス (複数回答)

 課題の解決策として期待されるサービスは、全体では「コンサルティング」「人材育成」などへの期待が多い。課題で最も多く挙げられた「社内で推進する人材不足」の解決策としては「人材育成」や「人材紹介/人材派遣」、「社内ルールが未整備」に対する解決策は「コンサルティング」、「データ活用に関する知識や情報不足」に対する解決策は「コンサルティング」や「人材育成」のサービスが期待されている。

データ活用に関する課題の解決策として期待されるサービス(複数回答)


▼MaaSも含んだ調査結果はこちら
https://www.persol-pt.co.jp/news/2024/05/31/9794/