2024年3月29日、佐川急便、イームズロボティクス、日本気象協会、サンドラッグは、山間地域の利便性向上に向けたドローンレベル3.5飛行による宅配便配送の実証実験を東京都青梅市において実施したことを発表した。

 レベル3.5飛行とは、デジタル技術を活用することで(機上カメラによる歩行者有無の確認)、これまで必要とされていた補助者や看板の配置による立入管理措置を撤廃するとともに、ドローンの操縦ライセンスの保有および保険への加入により道路や鉄道などの横断を伴う飛行を容易とするもの。

 4者は、東京都「ドローン物流サービス社会実装促進事業」における支援対象プロジェクトの選定を受け、山間地域の生活利便性向上および持続可能な配送スキーム構築を目指し、ドローン配送プロジェクトを共同で進めてきた。

LAB6150(イームズロボティクス社製)

 同プロジェクトでは、2023年1月にドローンレベル2飛行(目視内での自律飛行)の実証を1か月間、10月にはレベル2飛行による個人宅の敷地内への離着陸を含むドローン配送の実証を1か月間実施。そして今回、ドローンレベル3.5飛行による宅配便配送を実施した。

実証実験の概要

 青梅市の山間地域において、ドローンによる宅配便配送の実証実験を実施。到着したドローンから受取人が自身で荷物を取り出す今後の運用を想定した内容も行った。青梅市成木エリア(旧北小曾木ふれあいセンター)への配送実験では、災害による道路などの断絶時を想定した救援物資輸送の実証を実施した。

日時 :2024年2月26日〜3月8日(平日10日間のうち天候の影響で5日間実施)、12時頃〜16時頃、1日最大3往復6フライト

二俣尾ルート :青梅市二俣尾二丁目運動広場~青梅市二俣尾五丁目南運動広場(約1.8km)
災害時対応検証ルート :青梅市二俣尾五丁目第二運動広場~旧北小曾木ふれあいセンター(約2.5km)

飛行ルート(出典:国土地理院撮影 空中写真(2007年撮影)を編集)

【各社役割】

佐川急便・事業統括
・実証要件定義
・実証計画策定
・関係各所との合意形成
イームズロボティクス・機体製作および提供
・ドローン運航管理
・飛行許可申請
・通信環境の整備
日本気象協会・気象観測地点の選定
・気象観測装置の設置
・気象データ提供、分析
サンドラッグ・注文関連スキームの検討
・商品提供

【使用機体】

イームズロボティクス製「LAB6150」

機体サイズ(プロペラ込み)2,213mm×2,011mm×980mm
機体重量(バッテリー込み)14.9kg
最大ぺイロード10kg

 今回実際にドローンから荷物を受け取った地域住民向けアンケートでは、ドローン配送を今後も利用したいと回答した割合は96%。また、ドローンレベル3.5での飛行となるため、道路横断時の補助者や看板といった立入管理措置を機上カメラで代替できるなど、事業化に向けての課題であった人件費を大きく削減することができた。