兵庫県養父市とKDDIスマートドローン、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクストは、2024年2月8日に、養父市の地域課題解決に向けた連携協定を締結した。この協定は、過疎化による地域課題に対し、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装と地域発展に資する施策の推進を目的としている。

 また、協定締結にあわせて、2024年2月6日から2月8日にかけて養父市内で、レベル3.5飛行(条件を満たすことで立入管理措置や一時停止を省いた、無人地帯上空での目視外自律飛行)によるドローン物流の実証実験を実施した。

(左から)エアロネクスト代表取締役CEO田路圭輔氏、養父市長 広瀬栄氏、セイノーHDラストワンマイル推進チーム課長 和田悟氏、KDDIスマートドローンソリューションビジネス推進2部部長 森嶋俊弘氏

 養父市は兵庫県北部の中央に位置し、その面積は兵庫県の5.0%を占める。人口減少、少子高齢化が進み、今後ますます進行していく見通しの中、日常の買い物など生活利便性の維持や医療を安心して受けられる環境が求められている。また運送業界では、人手不足や採算性から特に過疎地域における配送維持が課題となりつつある。

 そこで物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を取り入れて、課題解決に取り組む。具体的には養父市関宮地域を対象に、生活に必要なサービスを集約して周辺集落と交通ネットワークで結んだコミュニティ拠点を構える「関宮小さな拠点」計画において、物流拠点となるドローンデポの設置と、日用品・医療品のドローン配送サービスのビジネスモデル構築を検討する。

【連携協定の内容】
 ドローンを含む次世代高度技術の活用により、以下の事項において連携・協定する。
1. 持続可能な地域物流の確保と住みやすい環境づくりに関する事項
2. 地域雇用、人材教育、人材育成および産業基盤整備に関する事項
3. 地域防災や地域の脱炭素への貢献および新しい社会インフラの整備に関する事項
4. 地域の医療および福祉の充実と発展に関する事項

レベル3.5飛行によるドローン配送の実証実験

「遠隔診療による医療の安心」を将来にわたり提供できるよう、ドローンが診療所で医薬品を集荷し、住民宅周辺に配送する実証を行った。また、買い物弱者、災害時の孤立地域発生などを想定した、食料品や日用品の配送実証も実施した。

 さらに、地域住民の受容性向上・理解促進の取り組みとして、関宮学園でドローンに関するプレゼンテーションや子供たちが用意したメッセージを出合診療所に配送するデモを行った。

【飛行ルート】

1. 食品・日用品配送
関宮地域局→出合コミュニティスポーツセンター(配送先)
飛行距離:約11km、配送物:約1.9kg、飛行時間:約27分

2. 医療品配送
関宮学園→出合診療所(医薬品集荷)→轟地区(配送先)
飛行距離:約9.76km、配送物(医薬品):約0.6kg、飛行時間:約29分

診療所を離陸する様子
医療品を受け渡す様子

 機体は物流専用ドローン「AirTruck」を用いて、レベル3.5飛行を行った。運航は、エアロネクスト子会社でドローン配送を主事業とするNEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが行い、機体制御にはモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を行う「スマートドローンツールズ」(KDDIスマートドローン)の運航管理システムを活用した。

【実施体制】

プロジェクト統括KDDIスマートドローン
機体運航KDDIスマートドローン、NEXT DELIVERY
機体提供エアロネクスト
物流事業調査・企画推進セイノーHD
フィールド提供養父市