2024年2月13日、長野県王滝村、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、KDDIスマートドローンは、2024年2月7日に同村において、地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた「災害時の物資輸送」を想定した実証実験を実施したことを発表した。

 NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携し、セイノーHDとエアロネクストが推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて行ったものとなる。

 なお同実証実験は、環境優良車普及機構により、令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)に採択されている。

(左から)KDDIスマートドローン ソリューションビジネス推進2部プロジェクトマネージャー 星野寛明氏、セイノーHD事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流推進プロジェクト課長 和田悟氏、王滝村長 越原道廣氏、木曽地域振興局局長 渡邉卓志氏、NEXT DELIVERY取締役 青木孝人氏

 エアロネクストとNEXT DELIVERYは、2024年1月7日より、能登半島地震の被災地である石川県輪島市から要請を受けた日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の活動に参加し、同市内において孤立地域に医療物資などのドローン輸送を実施。機体はエアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を活用した。今回、王滝村において実施する災害時に関する課題解決を想定した実証実験でも同機を使用した。

実証実験について

 総人口657人(2024年1月現在)、高齢化率44%の王滝村は、御嶽山麓に位置し、急峻な場所が多く袋小路であるため、主要幹線道路が被災した場合は孤立する可能性が高い地区が点在している。急速な高齢化や人口減少、過疎地域を抱える中で、高齢者の見守りや買い物支援、過疎地域への災害時の物資供給、観光振興などさまざまな課題を有している。

 災害時などの孤立問題の解決に向けて、住民の理解度向上、定期飛行に向けた課題の洗い出しを目的として実証実験を実施した。

 実証実験では、おんたけ休暇村と王滝村中心地をつなぐ道路が災害により寸断された場合を想定し、崩越地域のテニスコートとおんたけ休暇村間でドローン飛行を実施した。機体の制御には、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を行う「スマートドローンツールズ」(KDDIスマートドローン)の運航管理システムを活用した。

 崩越テニスコートからおんたけ休暇村までの片道約10km(約21分)を、医療物資を搭載してドローン配送した。

医療物資が入った箱を切り離して飛び立つドローン(おんたけ休暇村)
ドローンが置き配した物資を確認する様子(おんたけ休暇村)
医療物資を受け取ったおんたけ休暇村職員