電子情報技術産業協会の共創プログラムの1つとして、水中光技術の活用を通じて新市場の創出や社会課題の解決に向けて活動するALAN(Aqua Local Area Network)コンソーシアムは、水中ドローンおよび水中ロボットの運用上の環境整備、発展、成長の促進に取り組む日本水中ドローン協会と、双方のビジネス領域拡充に向けて、2024年1月30日付でパートナーシップを締結したことを発表した。

 日本には国土面積の約12倍の排他的経済水域があり、水中ドローンや水中での光無線通信など、水中を対象とするビジネスは大きな可能性を持つとして、両者は水中に関連する市場創出と社会的な認知度向上を目指し、水中産業に関する普及・啓発活動および水中における技術課題やユースケース検討のための事業共有などで協力する。

 現在販売されている水中ドローンはそのほとんどが有線接続で制御を行うため、専門的な知識が必要になり、作業の省力化や効率化、技術進歩への課題になっている。また、海中・水中では電波の伝送が難しく、データ通信にも課題がある。そのため水中での計測やデータ取得、解析に時間がかかり、水中の無線データ通信は大きな需要がある。

 水中における音響通信と光無線通信の技術は、それぞれの企業・機関が研究開発を行い、音響通信が社会実装されている。一方、光無線通信は技術的な課題が大きく社会実装に至っていないが、LiDARやカメラを活用した水中モニタリングシステムは先行して開発が進められている。今後は、これらのシステムを水中ドローン等のロボットの操作性を損なわずに搭載する方法や、ユースケースの検討が必要である。

 両者は光無線、音波、有線技術等を棲み分けした柔軟性のある「水中ネットワーク」の構築と、それらを実装するロボティクス(水中ドローン等)の開発につなげることで、水中における新ビジネスを創出し、快適な水中世界の実現、海の産業革命の実現に向けて活動するとしている。

【パートナーシップ提携の内容・取り組み】

1. 水中ドローンおよびALANの普及啓発活動の協力:各種イベントで相互誘致活動とプロモーションを行い、市場活性化に向けた賛同者を増やすとともに社会的なコンセンサスの形成を目指す。

[参考] 「CEATEC 2023」ALANコンソーシアム×日本水中ドローン協会の共同出展ブース

2. ALAN技術搭載時の課題、ユースケース検討のための事業共有:社会実装に向けた、現場で活用されている水中ドローンにおける技術課題や、ALANとのユースケースについて情報共有などを実施する。