ACSLの米国子会社であるACSL, Inc.は、デラウェア州に拠点を置くValmont Industries, Inc.(以下、Valmont)と、2024年1月30日に、米国市場の重要インフラ産業におけるドローンの導入と利用を促進する上での戦略的パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結した。

 ドローン市場では経済安全保障や環境配慮に関する政策が加速している。米国ではNational Defense Authorization Act(NDAA)が施行され、ロシア製や中国製のドローンの政府調達が禁止されている。また中国製ドローンメーカーのDJI社は、2022年10月より米国国防総省の中国軍事関連企業に指定されている。このような市場環境の中、ACSLは経済安全保障、企業向け対応および用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成を狙う。

 ACSLは、セキュアで多用途かつ高性能な小型空撮ドローンの需要の高まりに対応するため、2023年1月にカリフォルニア州に米国子会社ACSL, Inc.を設立。同年12月にACSL, Inc.の戦略的代理店であるGeneral Pacific, Inc.に「SOTEN(蒼天)」を50機を納品した。2024年1月には、SOTENの価格と販売代理店を発表し、米国において本格的に販売を開始している。

米国に輸出した「SOTEN(蒼天)」

 Valmontは農業とインフラ産業の2つの主要市場と、ユーティリティ、照明、輸送、テレコム、ソーラー、コーティング、灌漑(かんがい)、農業技術の7つの多様な製品ラインにサービスを提供している。世界の84施設で製品を製造し、21カ国でビジネスを展開する同社は、インフラ点検やその周辺領域でドローンを活用する専門の事業部門を持っており、ドローンを積極的に活用している。

 ACSL, Inc.とValmontは、米国市場の重要インフラ産業におけるドローンのさらなる導入と利用促進を目指すとしている。

 ACSLグループと米国企業とのMOU締結は、General Pacific, Inc.、Conket2, Inc.、Firmatek, LLC.、Ameren Corporationに続き5社目となる。ドローン市場における経済安全保障を重視する流れを受けて、同社は今後も米国市場における販売および市場開拓を進める方針だ。