2024年1月17日、エアロネクストは、国際協力機構(JICA)の2023年度「中小企業・SDGsビジネス支援事業(ビジネス化実証事業)」において「モンゴル国ドローン活用による医療品の配送網構築のためのビジネス化実証事業」が採択されたことを発表した。JICA2022年度中小企業・SDGsビジネス支援事業のニーズ確認調査に続き2年連続の採択となる。

 JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業では、開発途上国の課題解決に貢献する日本の民間企業等のビジネスづくりを支援し、また、政府開発援助(ODA)を通じて築いてきた開発途上国政府とのネットワークや信頼関係、ノウハウ等を活用した価値の共創に取り組んでいる。

採択案件 概要

【提案内容】モンゴル国ドローン活用による医療品の配送網構築のためのビジネス化実証事業

【調査期間】2024年3月~2025年6月(予定)

【実施概要】(予定)

1. ビジネスモデル構築・検討
運営コストの検討とともに、具体的な顧客を想定した持続可能なビジネスモデルの構築・検討を行う。

2. ドローン運航体制確立に向けた検討
現地の気候・気象条件(寒冷気温、標高、風等)下で運用するための機体や備品の機能検証、ドローン運航体制の確立、ドローン飛行に関する運用ルールの検討を行う。

 モンゴルでは全人口の半数(約160万人)がウランバートルに集中しており、物流、交通面では慢性的な渋滞が発生している。道路インフラ整備も不十分な状況のため、物流網が脆弱で救急車通行が妨げられる場合もあり、医療だけでなく経済活動にも悪影響が出ている。また、都市中心部での局所的なガソリン車利用により大気汚染も進んでいる。

 エアロネクストは、モノの流れを効率化・最適化し、物流面から解決策を探り、ドローン技術を活用した新たな物流インフラ「新スマート物流」を推進するため、中小企業・SDGsビジネス支援事業を通して、2023年9月にウランバートル市で「モンゴル新スマート物流シンポジウム」を開催し、「モンゴル新スマート物流推進ワーキンググループ」を発足した。

 2023年11月にはモンゴル新スマート物流推進ワーキンググループの活動として、ウランバートル市で、医療定期配送網構築を目指し、ドローンによる血液輸送の実証実験を実施。モンゴル国民間航空庁から正式な許可承認を受け、標高1300m、外気温-15℃という厳しい環境の中、国立輸血センターとモンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院間の往復約10kmのルートを飛行した。

 エアロネクストは同事業を通して、モンゴルにおけるドローンを活用した新スマート物流SkyHubの事業化に向け具体的なビジネスモデルを構築、検証し、社会実装を加速させるとしている。

モンゴル新スマート物流推進ワーキンググループの発足式の様子(2023年9月 モンゴル新スマート物流シンポジウム)
血液を載せて国立輸血センターの駐車場を離陸し飛行する物流専用ドローン「AirTruck」(2023年11月 実証実験)
ウランバートル市内を血液を載せて飛行するドローン(2023年11月 実証実験)