2024年1月10日、DJIは、配送用ドローン「DJI FlyCart 30」のグローバル市場での販売を発表した。大容量積載、長距離輸送、高い信頼性、インテリジェント機能を備え、配送業界が抱える課題の解決に貢献するとしている。

重量貨物を長距離輸送

 機体サイズは、長さ1590×幅1900×高さ947mm(アーム展開、プロペラ折りたたみ時)。8枚のカーボンファイバー製プロペラを4軸に同軸配置したマルチローター構成を採用し、最大飛行速度は20m/s。デュアルバッテリー使用中は、最大積載量30kg、最大航続距離16km。緊急時にシングルバッテリーで運用する場合の最大積載量は40kg、航続距離は最大8kmとなる。DJI O3映像伝送システムにより、ドローンと送信機の接続距離は最大20km(日本国内は8km)‌。デュアル操作モードを備え、異なる場所にいる2人のパイロット間で制御権限を相互に移譲することができる。

さまざまな環境に対応

 保護等級はIP55、-20~45℃の環境温度範囲に対応する。最大12m/sの風圧環境下でも飛行可能。標準プロペラの最大飛行高度は6000m、30kgのペイロード積載時は高度3000mまで飛行することができる。バッテリーは自己発熱機能に対応し、低温環境下でも最適な性能を発揮する。

運用時の安全性を向上

 冗長システムとスマートな安全機能を備える。離陸前に、環境条件をもとに飛行ルートが利用可能かを判断し、音と光による警告やプロペラの回転開始時の6秒遅延などを使い、安全性を確保する。飛行中は、前方・後方のアクティブフェーズドアレイレーダーとデュアルビジョンシステムにより、気候や時間帯を選ばず、多方向の障害物検知を行う。有人航空機が付近を飛行している場合は、内蔵のADS-Bレシーバーが速やかに警告を発する。緊急時には、機体に内蔵したパラシュートを低高度で開き、機体を安定的に着陸させる。

前方・後方のアクティブフェーズドアレイレーダー

貨物モードとウインチモード

 機体を折りたたむことで、普通自動車での運搬が可能。

 貨物モードでは、70Lケースにペイロードを収納。ケースは重量と重心を検出するセンサーを備え、貨物のバランスを保ち安全性を確保する。

70L 発泡ポリプロピレン(EPP)ケースを標準搭載。内部寸法は573×416×306mm(長さ×幅×高さ)。

 ウインチモードは、ペイロードを吊り下げて、着陸しにくいエリアへの配送を可能にする。20mのケーブルを用いて、手動または自動で速度0.8m/sの巻き上げ・下げを行い、最大40kgのペイロードを輸送できる。APプロジェクションは、目的の着陸地点を送信機画面に投影表示することで、正確なペイロードの降下をサポートする。飛行中は機体の姿勢を調整し、吊り下げているペイロードの揺れを自動で軽減する。

ウインチシステムキット(ウインチ、カウンターウェイト、輸送用ランディングギア、延長ケーブル)

専用ソフトウェアで配送を円滑化

 DJI DeliveryHubは、タスク計画、運用ステータスのモニタリング、チームリソースの集中管理、データの収集と分析に対応し、FlyCart 30による配送を体系的に管理する。機体に搭載した高解像度FPVジンバルカメラを通したライブビューの確認も可能。

フルHD FPV単軸ジンバルカメラ

 DJI Pilot 2は、手動・自動飛行に対応するとともに、飛行ステータスやペイロードの状態などをリアルタイムに表示し、安全で効率的な運用を実現。また、異常気象やその他の異常事態が発生した場合は、オペレーターにリスクを警告し、代替着陸地点の管理をサポートする。

 DJI DeliveryHubとFlyCart 30は、外部クラウドプラットフォームや外部ペイロードと併用することができるため、さまざまな業界特有のシナリオに適応する。

▼ DJI FlyCart 30
https://www.dji.com/jp/flycart-30

▼ DJI DeliveryHub
https://www.dji.com/jp/delivery-hub

機体正面・サイド
機体サイド
機体トップ
機体バック