2023年12月13日、SORA Technologyは、ドローンとAIを組み合わせた蚊媒介感染症のデジタル監視システムが、JETROの「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」に採択されたことを発表した。同社はカンボジアにおけるデング熱などの蚊媒介感染症削減に向けた実証事業に取り組むとしている。

ガーナでの集合写真

 ASEAN加盟国のカンボジアでは、マラリアやデング熱、ジカ熱といった蚊が媒介する感染症の被害が深刻で、特にデング熱の感染者は2022年の1年間で1万2千人を超え、対策が急がれている。同国では感染症流行予測システムや蚊の幼虫(ボウフラ)駆除剤散布などの取り組みが求められているが、効率的に実施するために必要なデータ収集をはじめとしたデジタル化が十分に進んでいない。

 同社は、マラリア媒介蚊を幼虫段階で駆除する手法(LSM)にドローンとAIを用いることで、従来のLSMと比べて効率よく、低コストで駆除できるシステムを提供している。ドローンで検知した水たまりを水温や水深、濁り度といった指標で仕分けし、ボウフラが繁殖するリスクが高いと判定した水たまりにだけ殺虫剤を散布することで、人件費の削減、殺虫剤散布に対する費用対効果の改善、殺虫剤による環境負荷の低減を見込んでいる。

 西アフリカ地域のシエラレオネやベナンで先行展開しており、カンボジアでも同システムを応用する。これにより、蚊媒介感染症の減少のほか、狂犬病といったその他の感染症対策でDXを促進するきっかけとなること、ドローンやAIの現地活用によりドローンやAI分野の人材育成を促し、カンボジアにおけるデジタル技術の新規産業育成への貢献が期待される。

シエラレオネで飛ばしたドローン
ドローンから撮影した画像(セネガル)
水たまりの水温計測とボウフラ生息状況を調査する様子(ガーナ)