2022年7月20日、SORA Technologyは、マラリアを中心とした蚊を媒介とする感染症対策の新規ソリューション「SORA Malaria Control」を発表、あわせて同ソリューションの開発実証事業が、経済産業省・JTBが令和4年度「技術協力活用型・新興国市場開拓事業費補助金」として実施する「J-Partnership 製品・サービス開発等支援事業補助金」に採択されたことを発表した。

 同社が事業を展開するシエラレオネでは、保健衛生分野における乳幼児および妊産婦の死亡率が喫緊の課題となっている。中でも風土病であるマラリアは、5歳未満の乳幼児の死亡率の第一の原因であり、全年齢の外来患者の50%を占め、国の脆弱な医療体制・財政基盤を強く圧迫している。

 SORA Malaria Controlは、自社開発する固定翼ドローンによる空撮画像と複数のAI技術を組み合わせ、高リスクでマラリア媒介蚊の幼虫の繁殖域となり得る水たまりを効率的に発見・管理するサービスだ。
 蚊の幼虫が繁殖しやすい水域を特定した上で、成虫になる前に殺虫剤散布等を行うマラリア対策手法は、Larval Source Management(LSM)と呼ばれる。世界保健機関(WHO)が、殺虫剤処理された蚊帳や、屋内残留殺虫剤噴霧と並んで高い有効性を認める一方で、水たまりの発見から殺虫剤散布までの労働集約的性質や、殺虫剤消費量の多さが社会実装の大きな課題となっていた。

 同ソリューションでは、広範囲のカバーが可能な固定翼ドローンによる空撮技術により、水たまりの発見に必要な労働力を大きく削減し、幼虫の繁殖リスクの高い水たまりに限定して殺虫剤を散布することで、費用対効果の高いLSMの実施を可能とする。
 既に現地調査やマルチコプターによる空撮試験等は実施済みで、MOUを締結するシエラレオネ・ンジャラ大学等と協業しながら、今夏より開発実証を本格化する予定である。

現地診療所での調査
ンジャラ大学キャンパス内「Drone Corridor」の視察
マルチコプターを使用したプレ空撮試験の様子
水たまりの空撮を行うドローン