2023年12月15日、茨城県境町とNEXT DELIVERYは、新設されたドローン飛行レベル3.5によるドローン配送を実施したことを発表した。

 今回の飛行では、レベル4飛行(有人地帯における目視外飛行)でのみ可能であった、移動車両上空を横断したドローンによる配送を実施した。

 ドローン飛行レベル3.5の新設については、2023年11月に開催された「規制改革推進会議」第1回スタートアップ・投資ワーキング・グループの部で、国土交通省がドローンに関する規制緩和と今後の方針の説明内で触れ、年内に実施開始予定と発表していた。

 レベル3.5飛行は、デジタル技術の活用(機上カメラによる歩行者等の有無の確認)により、補助者や看板の配置といった現在の立入管理措置を撤廃するとともに、無人航空機の操縦ライセンスの保有および保険への加入により道路や鉄道等の横断を伴う飛行を容易とするもので、ドローンの運用コスト削減と業務の効率化によりドローン配送の事業化を後押しする。

 境町では、2022年度からドローンを活用した新しい商品流通の仕組みの構築に着手し、2023年2月にドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの拠点「ドローンデポ境町」を開所した。しかし、ドローンの定期飛行では道路を横断する必要があり、一時停止することで配送時間にズレが生じていたという。レベル3.5飛行では条件を満たすことで、一時停止せず移動車両の上空飛行が可能となり、オンタイムでスムーズな運航が期待される。

配送を完了してドローンが戻る様子
ドローンが置き配した荷物を取りに行く住民
ドローン配送された荷物の中身を確認する様子

 ドローン配送には物流専用ドローン「AirTruck」を使用し、運航管理(リモートパイロット)は、有資格者が山梨県小菅村より遠隔で実施。往路約4.5kmを約11分で飛行した。これまでは国道354号の横断の際にはドローンが一時停止していたが、レベル3.5飛行では、有資格者のパイロットの操縦のもと、ルールを満たすことで一時停止せず移動車両上空の運航が可能となる。今回はその必要条件を満たし、安全を確認のうえ、一時停止することなく配送を実施した。

機上カメラのライブ映像でレベル3.5飛行を説明するNEXT DELIVERY取締役 運航管理責任者 青木孝人氏。

 機上カメラから安全監視を行うことで、着陸側に補助員やパイロットを配置せず、ドローンは自動で着陸。品物の入った箱を切り離して置き配し、離陸後は住民が中身を確認した。

 現行のレベル3(無人地帯における目視外飛行)は、鉄道や道路、船の航路など人が立ち入る可能性のある場所を飛ぶ際は、現地での補助員配置や案内板の設置を義務づけているが、今回のレベル3.5飛行では、ルート上に補助員や案内板は配置せず実施した。