2023年12月11日、KDDIスマートドローンは、デジタル庁が三菱総合研究所に委託している「テクノロジーマップの整備に向けた調査研究」における技術実証事業「実証類型6:カメラ、ドローン、ロボット、AI等を活用した自然物等の実地調査の実証」の実証事業者として採択されたことを発表した。

 同事業では、ドローンを活用した情報収集に加え、AI等によるデータ解析技術を活用したリスク評価・環境影響評価の支援や精緻化により、人が広大な自然環境に立ち入って実施している自然物等の実地調査を効率化・高度化するため、実際にデジタル技術の活用による代替が可能であるかを検証する。

実証について

 ドローンやトレイルカメラによる情報取得手段、それらをつなぐ4G LTEや衛星ブロードバンドインターネットStarlinkの通信ネットワーク基盤、AI等によるデータ解析技術を活用し、実地調査の効率化・高度化に向けた5つの実証を実施する。

 社会や産業のデジタル化を阻むアナログ規制に対して活用可能な技術の安全性・実効性等を実証することで、同規制の見直しを支援することを目指す。

取り組みの全体イメージ

A. Starlinkを活用したニホンジカやヒグマ等の生息状況調査
 吉野熊野国立公園と知床国立公園において、トレイルカメラやStarlink、検知AIシステムを活用し、ニホンジカやヒグマ等の生育状況調査の高度化、省力化の可能性を評価する。

B. ドローンや人流データ等を活用した国立公園の土地利用、風景・景観、利用状況等の情報取得
 吉野熊野国立公園等において、視認等で確認していた利用者数・属性カウントや公園内の巡視業務について、au人口動態データ、ポート付きドローン、カメラ+AIを用いて、効率化・高度化の可能性を評価する。

C. ドローンの遠隔操作による動植物の個体群、群集または群落の生息・生育状態の情報取得
 厚岸霧多布昆布森国定公園、瀬戸内海国立公園、崎山湾・網取湾自然環境保全地域において、4G LTE経由で遠隔監視が可能なスマートドローンや着水が可能なドローン、マルチスペクトルカメラ搭載ドローン等を活用し、水鳥の渡来数カウントや海浜植物・海草の生育状況の調査について、効率化・高度化の可能性を評価する。

D. 実施項目B、Cで取得した情報を基にした状況変化の自動検出
 実証項目B、Cで取得したそれぞれ複数回のデータ同士を比較し、適切な方法で変化を可視化する。

E. ドローンを活用した大分県特別保護樹林の指定、保全のための調査業務
 大分県の特別保護樹林を対象に、森林内部と森林上空の2パターンをドローンで撮影することで、特別保護樹林の指定等の際に必要な樹木の胸高直径や高さ、樹林面積等の計測について効率化・高度化の可能性を評価する。